梅雨の時期に家を建てる方は、湿気による木材への影響などに不安を感じているのではないでしょうか。技術の進歩により現在では多くの湿気対策が取られており、以前よりも梅雨時期に家を建てるリスクは下がっています。この記事では、梅雨時期に家を建てる際の注意点と、梅雨を避ける場合のスケジュールを詳しく紹介します。

家の建築に梅雨時期を避ける必要はない

家の建築に梅雨時期を避ける必要はない
梅雨時期に家を建てる際、木材に与える湿気の影響を心配する方は多いのではないでしょうか。たしかに以前は梅雨時期に湿気を多く吸った木材が、夏場に水分が抜けてやせてしまい、家がガタガタになると言われていました。
 
しかし現在は乾燥処理された木材を使用するため、梅雨時期であっても湿気を吸収して膨張することはありません。さらに建築材料の進化により、湿気に強い資材も開発されています。
 
乾燥処理された木材や湿気に強い資材を使用することで、雨が多い季節でも問題なく工事を進めることが可能です。ただし建築には雨の中ではできない作業もあるため、遅延なく建築を進めるために梅雨時期を避ける方もいます。

梅雨時期に遅延する可能性がある2つの工事

梅雨時期に遅延する可能性がある2つの工事
 
木材の乾燥技術の進歩から、梅雨時期に湿気の影響を過剰に気にする必要はなくなりました。しかし「基礎工事」と「上棟」に関しては、雨の影響で遅延するリスクがあるため注意が必要です。

基礎工事

建物の基礎に使われるコンクリートは水とセメント、そして骨材(こつざい)と呼ばれる砂利や砕石を混ぜて作られています。そのためコンクリートに雨水が入ると配合が変わり強度が落ちてしまうため、雨の中では工事が進められません。
 
またコンクリートが固まった後であっても、基礎の上に雨水がたまった状態では、カビが発生するリスクがあります。そのため梅雨時期には基礎工事が遅延する可能性が高くなります。

上棟

上棟とは柱や梁(はり)などの基本的な構造が組み上がった後に、家の最上部の「棟木(むなぎ)」を取り付ける作業です。雨が降ると、作業員の足場がすべりやすくなり、重大な事故につながる危険性が高まります。
 
上棟は安全性が最優先されるため、基本的には雨の日の作業は行いません。梅雨時期の建築工事では、工期遅延の原因になる場合があるため注意が必要です。

梅雨時期の建築の際に施主が理解しておくべき6つのポイント

梅雨時期の建築の際に施主が理解しておくべき6つのポイント
 
施工会社は、雨による影響に最大限に配慮して工事を行っています。施主側も雨による影響を理解することで、安心して作業を見守れるでしょう。こちらでは梅雨時期の建築の確認ポイントを紹介します。

基礎の配筋

配筋とは、建物の基礎となる鉄筋部分を指します。配筋は、基礎の強度を支える重要な役割を担っています。配筋がむき出しのまま雨に当たっている状態を見ると「錆びて基礎の強度が落ちるのではないか」と心配する方もいるでしょう。
 
しかし、鉄筋は表面が多少錆びた程度では強度が落ちる心配はありません。コンクリートは錆を防ぐアルカリ性なので、雨に濡れている状態を見ても特別心配する必要はないでしょう。

基礎コンクリート

配筋を敷設した後には基礎コンクリートの打設が行われます。打設とは、型枠にコンクリートを流し込む作業です。コンクリートの打設は雨が降っている時には行いません。
 
雨水が入り込むとコンクリートの配分が崩れるため、施工会社が雨の日にコンクリートの打設を行うことはありません。気になる方は、施工会社のコンクリート打設作業時の天候を確認しておくと良いでしょう。

土台材

基礎工事の次は、土台材を施工します。土台材は、家全体の重量を支える役割があります。土台材は防腐剤で処理されており、湿気や害虫から保護されているため、多少の雨で痛むことはありません。
 
ただし、雨が降ることが予想されている場合にはシートで覆うなどして保護することが一般的です。使用する木材によっても雨への耐性は異なるため、雨には極力さらさないように配慮されます。施主は、建築現場の資材の保管状況を確認しておきましょう。

柱・梁

土台材が組まれた後には柱や梁(はり)の施工が行われ、家の骨格が出来上がっていきます。柱や梁(はり)は乾燥処理された材料が使われているため、多少の雨に濡れても湿気で変形するなどの心配はありません。一度乾燥処理された木材は、表面から水分を吸収しにくくなるためです。
 
ただし組み上げる前の材料を建築現場に置いておく場合、一般的にはシートで覆うなどの対策を行います。乾燥処理が行われているとはいえ、切断面は水を吸収しやすいなどリスクがゼロではないためです。気になる方は、柱や梁材の現場での保管状況などを確認しましょう。

合板・石膏ボード

合板・石膏ボードの施工は、柱や梁などの構造部が組みあがった後に行う作業です。壁の下地などに使われる合板や石膏ボードは、雨で濡らしてはいけない材料です。合板や石膏ボードは一度濡れてしまうと元の形状には戻りません。合板は濡れると膨張する上に、乾いても内部からヤニが染み出し、黒いシミになります。石膏ボードは紙と石灰でできているため、水に濡れると手で簡単に折れるほど強度が落ちます。
 
合板や石膏ボードなどの内装材は、建築現場で保管することは基本的にはありません。もし、建築現場に長期間平積みになっている場合には施工会社に改善を求めましょう。

断熱材

断熱材も合板や石膏ボードと同様に、雨に濡れると性能が著しく落ちる材料です。断熱材は濡れてしまうと乾燥しにくく、カビが発生する原因にもなります。
 
断熱材が雨に濡れると機能が落ちるばかりか建物を傷める原因になるため、梅雨時期には特に取り扱いに注意する必要のある材料です。施主は雨天時に作業が続いている場合、断熱材が濡れないよう作業が行われているか、確認しておくと良いでしょう。

梅雨を考慮に入れて家を建てるスケジュール

梅雨を考慮に入れて家を建てるスケジュール
家を建てるために必要な期間の目安は、情報収集・予算の検討から工事完了までで、1年半程度です。その内で建築工事の期間は、半年程度です。
 
梅雨時期を避けて建築するためには、土地探しや住宅プランづくりなどの期間も考慮してスケジュールを組む必要があります。こちらでは、梅雨に入る6月までに家を完成させるためのスケジュールを紹介します。

情報収集・予算の検討:3ヶ月程度

住みたい家のイメージを作るための情報収集や予算の検討は、完成の1年5ヶ月前から行います。
 
予算を検討する際には、頭金として準備できる金額の確認や無理のない住宅ローンの返済計画を考える必要があります。人によって必要な期間は異なりますが、3ヶ月程度の期間を設けると十分な検討ができるでしょう。

土地探し・ハウスメーカー選び:2ヶ月程度

完成の1年2ヶ月前には、土地探しやハウスメーカー選びを行いましょう。理想の土地が見つからないなど長期間に及ぶ可能性があるため、余裕のあるスケジューリングが大切です。
 
ハウスメーカー選びは、カタログや住宅展示場の見学が効率的です。自身の理想とする機能やデザインを実現できるハウスメーカーを十分に比較検討して選びましょう。  
 

住宅プランの打合せ:5ヶ月程度

住宅プランの打ち合わせは、完成の11ヶ月前に行います。住宅プランの打合せとは、ハウスメーカーと間取りや設備などを決めるステップです。住宅プランは、間取りや設備などの大枠が決まっている規格住宅と、ゼロから設計する注文住宅では必要な期間が大きく異なります。
 
また住宅プランの打ち合わせと並行して、ハウスメーカーは建築予定地の敷地・地盤調査を行います。敷地調査とは、都市計画法や建築基準法による「建ぺい率」や「容積率」の制限を確認する作業です。また地盤調査は、建物を建てるために必要な地盤補強や基礎工事の方法を決めるために行われます。
 
ゼロから設計する注文住宅の場合には、多くの時間が必要になるため、短くても5ヶ月程度の期間を確保する必要があるでしょう。住宅プランと敷地・地盤調査が終わると、ハウスメーカーから最終的な見積もりを受領して予算が確定します。実施設計図と見積もりの完成をもって、ハウスメーカーとの契約手続きに進みます。

内装・インテリアの打合せ:1ヶ月程度

内装・インテリアの打ち合わせは、完成の7ヶ月前に行います。インテリアの打合せは、建築開始前の最後のステップです。インテリアの打合せでは、カーテンや照明器具などを決めます。デザインだけでなく機能性にも配慮して、家族でしっかり検討することが重要です。完成前年の11月中に終わらせられれば、梅雨時期前に家を完成させられるでしょう。

建築確認申請:2~3ヶ月

建築工事前に、ハウスメーカーが建築確認申請などの諸手続きを行います。建築確認申請とは、違法建築物を排除することを目的として、新築や増改築工事前に「建築基準法や条例に沿った建物であるか」行政機関が確認するための手続きです。

建築工事:6ヶ月程度

完成の6ヶ月前の1月頃に、基礎工事を始めます。基礎工事は住宅の土台となる基礎部分をコンクリートと配筋で組み上げる工程です。このあたりで、着工前にご近所への挨拶に伺うと良いでしょう。
 
基礎工事が終わると、いよいよ建築工事が始まります。建築工事の開始は、完成の5ヶ月前頃が目処です。建築工事は一般的な住宅で5ヶ月程度の期間を見込んでおく必要があります。完成年の1月から建築工事を始められれば、梅雨時期前の5月中には完成できるでしょう。

梅雨時期に家を建てることに問題はないが工期の遅れ等に注意しましょう

梅雨時期に家を建てることに問題はないが工期の遅れ等に注意しましょう
 
梅雨時期に家を建てるケースでは、湿気による木材の痛みなど様々な不安を感じる方は多いでしょう。しかし、現代では木材の乾燥処理技術の進歩や徹底により、湿気による問題は大幅に軽減されています。
 
ただし、基礎工事や上棟など雨の中では行えない工事があるため、工期が遅延するリスクはあります。また木材が乾燥処理されているとはいえ、資材への雨の影響はゼロではありません。内装材は雨によって大きな影響を受ける資材もある点にも注意が必要です。
 
最低限、施主としても、建築中の雨の影響や確認ポイントなど知識は持っておく必要があるでしょう。梅雨時期の建築を避けるためには、事前の完成までのスケジュールを十分に考えておく必要があります。本記事で紹介した「梅雨時期を避けて建築するためのスケジュール」をぜひ参考にしてください。
 
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