住まい探しの際に、多くの方が悩むポイントが「間取り」です。家族のライフステージやライフスタイルによって変わるため、理想の間取りを考えることは簡単ではありません。
 
特に子どものいる家庭では、子どもの成長とともに必要な部屋の種類や数は変わってきます。この記事では、両親と子ども2人の4人家族を想定し、おすすめの間取りや、間取りを検討する際のポイントについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

4人家族の間取りと広さの目安

4人家族の間取りと広さの目安
4人家族が暮らす家の広さは、国土交通省の「住生活基本計画における居住面積水準」によると以下のとおりです。[注1]
 
  • 最低居住面積水準:50㎡
  • 誘導居住面積水準(都市型):95㎡
  • 誘導居住面積水準(一般型):125㎡
 
最低居住面積水準とは、健康で文化的な生活を送る上で必要不可欠な面積水準です。一般的には、2LDK以上が目安となります。
一方で誘導居住面積水準とは、多様なライフスタイルに対応するために必要な面積水準を意味しており、都市型は都心やその周辺の共同住宅、一般型は郊外や都市部以外の戸建て住宅をそれぞれ想定した水準です。都市型では3LDK以上、一般型では4LDK以上が目安になります。
 
[注1]住生活基本計画における居住面積水準

4人家族の間取りを決める5つのポイント

4人家族の間取りを決める5つのポイント
4人家族の間取りを考える際に、何から決めれば良いか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。こちらでは、間取り決める際に失敗しないための、5つのポイントを解説します。

子ども部屋の数

子どもがある程度の年齢に達している家庭では、子ども部屋をいくつ作るのか考える必要があります。子ども部屋の数を検討する際には、性別や年齢を考慮しなければなりません。例えば、年の近い同性同士なら広めの部屋が1つあれば良いかもしれませんが、男の子と女の子がいたり、年が離れていたりする場合は、1部屋を共同で使うのは難しいかもしれません。
また、家での勉強の仕方も部屋数に影響します。子どもがリビングで勉強する場合は、それぞれに個室を用意しないという選択肢もあるでしょう。さらに、子どもが成長すると、家に友達を呼ぶことなどもあるでしょう。子ども部屋の数を検討する際は、使い方も考慮して検討することが重要です。

夫婦の寝室

夫婦の寝室を、1つにするのか別々に用意するのかを決めておく必要があります。就寝時間など生活スタイルが大きく異なる場合には、別々に用意することも検討しましょう。
 
寝室を1つにする場合には、ベットを2つ、あるいは大きめのベッドを1つ置くために3畳程度のスペースが必要であるため、6〜8畳程度の部屋が必要になります。2人の寝室を別々に用意する場合には、それぞれ4畳半〜6畳あれば十分でしょう。

書斎・仕事部屋の有無

家族内に在宅ワークをしている方がいる場合には、ワークスペースを準備しなければなりません。部屋数に余裕があれば個室を準備する、困難な場合はリビングにワークスペースを設けるなどの対応が必要です。
 
居住空間内での確保が困難な場合には、共用部にワークスペースを設けているマンションを選ぶという選択肢もあります。在宅ワークをしている方の希望を踏まえて、スペースを確保できるか検討しましょう。

来客用の部屋の有無

親やきょうだいなどの来訪者が多い家庭では、来客用の寝室が必要になる可能性があります。しかし来客用の部屋は日常的には使用しないため、間取りに余裕がある場合で構わないでしょう。
 
来客用の寝室がない場合でも、共用部にゲストルームが用意されているマンションを検討したり、宿泊はホテルを手配することなどで対応することができます。

収納部屋の有無

荷物は子どもの成長とともに増えていきます。収納スペースはマンションでは8〜10%、一戸建てでは12〜13%が標準と言われています。
 
子どもだけでなく夫婦の荷物量を確認し、十分な収納スペースを確保できる部屋を選びましょう。収納部屋の確保が難しい場合には、トランクルームを借りるなどの対応が必要です。

4人家族の間取りはライフステージの変化を考慮する

4人家族の間取りはライフステージの変化を考慮する
将来後悔しない間取りにするには、子どもの成長など家族のライフステージの変化を考慮することが大切です。例えば、子どもが幼い間は家族で共用するリビングや寝室のみでも問題ありませんが、小中学生になれば子ども部屋を用意する必要が出てきます。
また、家族の変化は子どもだけではありません。例えば親が高齢になり、同居が必要になる可能性もあります。自身の家族のライフステージの変化によって、間取りにどのような影響を与えるか考えておきましょう。

【間取り別】4人家族におすすめの部屋の使い方

【間取り別】4人家族におすすめの部屋の使い方
適切な間取りは、それぞれの家族のライフステージや生活スタイルによって異なります。こちらでは、間取り別におすすめの使い方を解説します。

1LDK

1LDK
1LDKは、まだ子どもが小さい家族におすすめです。子どもが成長してくると手狭になりますが、将来住み替えることを前提とすれば、家賃の安い1LDKは有力な選択肢になります。1LDKでは、以下のように部屋を使うのがおすすめです。
 
  • リビング・ダイニング:生活空間
  • 洋室:家族4人の寝室
 
個室を寝室として、リビング・ダイニングを家族で過ごす場所として使います。子どもが小さいとはいえ4人分の寝る場所を確保する必要があるため、寝室は8畳以上の広さがあると良いでしょう。

2LDK

2LDK
 
2LDKは、子ども部屋や仕事部屋が必要な家庭におすすめです。居室が2つあるため、寝室としてだけでなく、家庭の事情に合わせて部屋を使えます。
まだ子ども部屋を必要としない家庭では、以下のような使い方が想定されます。
 
  • リビング・ダイニング:家族の共有空間
  • 寝室:家族4人の寝室
  • 洋室:仕事部屋や荷物部屋
 
居室は、寝室のほか仕事部屋や荷物部屋として利用できます。
また、子ども部屋が必要になった場合には、以下のように夫婦と子どもそれぞれの部屋を用意すると良いでしょう。
 
  • リビング・ダイニング:家族の共有空間
  • 寝室:夫婦の寝室
  • 洋室:子ども部屋
 
ただし1つの子ども部屋を2人で使うため、性別の違いや年齢差がある場合にはパーテイションで仕切るなどの対応も考えておく必要があります。

3LDK

3LDK
 
3LDKは、家族の多くに個室を用意できる間取りです。
例えば、以下のように子ども部屋を2つ用意することが可能です。
 
  • リビング・ダイニング:家族の共有空間
  • 洋室1:夫婦の寝室
  • 洋室2:子ども部屋
  • 洋室3:子ども部屋
 
また2LDKとは違い、以下のように子ども部屋と仕事部屋を両立できます。
 
  • リビング・ダイニング:家族の共有空間
  • 洋室1:夫婦の寝室
  • 洋室2:仕事部屋
  • 洋室3:子ども部屋
 
3つの個室は夫婦の寝室のほか、仕事部屋や子ども部屋などさまざまな用途で利用可能です。
また、将来子どもが増えた場合にも対応できる広さと言えます。

4LDK

4LDK
4LDKは、家族のライフスタイルに合わせて様々な使い方ができる間取りです。4部屋あるため、以下のように家族全員に個室を用意できます。
 
  • リビング・ダイニング:家族の共有空間
  • 洋室:子ども部屋
  • 洋室:子ども部屋
  • 洋室:夫の部屋
  • 洋室:妻の部屋
 
また以下のように夫婦で1部屋を共用することで、仕事部屋を確保する方法もあります。
 
  • リビング・ダイニング:家族の共有空間
  • 洋室:子ども部屋
  • 洋室:子ども部屋
  • 洋室:夫婦の寝室
  • 洋室:仕事部屋
 
親やきょうだいなどの来訪が多い家庭や荷物が多い場合には、以下のように一部屋を来客用や収納スペースとして活用するのも良いでしょう。
 
  • リビング・ダイニング:家族の共有空間
  • 洋室:子ども部屋
  • 洋室:子ども部屋
  • 洋室:夫婦の寝室
  • 洋室:来客用の部屋または荷物部屋
 
ただし、4LDKは子どもが独立した後には部屋を持て余してしまう可能性があります。子どもの独立後は、リフォームをして部屋を広げるなどの対応を検討してみましょう。また4LDKはマンションでは選択肢が限られるため、戸建ても含めて検討する方が選択の幅が広がります。

4人家族で部屋が足りないときの工夫を5つ紹介

4人家族で部屋が足りないときの工夫を5つ紹介
4人家族の間取りを考える際、予算の関係などから理想の部屋数を用意できるとは限りません。こちらでは、部屋数が足りない場合の工夫を5つ紹介します。

リビング・ダイニング兼用テーブルセットを使う

部屋数が少なくても、リビング・ダイニングスペースを有効利用することで、ワークスペースや子どもの学習スペースを確保できます。
 
効率的なスペースの利用には、リビング・ダイニング兼用のテーブルセットの利用がおすすめです。リビングとダイニングを1つの空間で収められます。

部屋をパーテーションで区切る

部屋数が足りない場合、パーテーションで区切って2つに分ける方法があります。例えば、子ども部屋を1つしか用意できなくてもパーテーションで区切ることで、それぞれのプライベート空間を確保できます。またパーテーションだけでなく、2段ベットや背の高い棚で部屋を区切っても良いでしょう。

学習机は置かない

子ども部屋を確保できない場合には、学習机を置かないという選択肢があります。学習机を置かない場合、子どもの勉強はリビング・ダイニングで行うことが多いでしょう。
 
リビング・ダイニングでの学習は、親がそばで見守れる点や親子の会話が増える点がメリットです。「小学生になったら学習机を用意しなければならない」という固定概念を捨てて、学習環境を柔軟に考えるのも良いでしょう。

背の低い家具を選ぶ

限られた部屋を多人数で使うと、どうしても狭苦しさを感じてしまいます。狭苦しさを緩和するなら、背の低い家具を選びましょう。家具の高さを下げると、圧迫感が和らぎ狭さを感じにくくなる効果があります。
 
また壁紙と同系色の家具を選ぶと空間に馴染むため、部屋がより広く感じられるようになります。家具は最低限にしながら、家具を置く場合でも背が低く、壁紙と調和の取れた商品を選びましょう。

ベットではなく布団にする

部屋数が少ない場合には、ベットではなく布団の利用がおすすめです。常にスペースを専有するベットを置かないことで部屋を広く使えます。
 
またベットを使う場合には、折りたたみ式など片付けられる商品を選びましょう。子ども部屋では2段ベットにすると省スペース化でき、部屋内の仕切りにもなるためおすすめです。

4人家族の間取りはライフステージや生活スタイルから考えましょう

4人家族の間取りはライフステージや生活スタイルから考えましょう
 
4人家族の間取りは、それぞれの家庭のライフステージや生活スタイルによって必要な部屋や数が変わります。住み替えを前提としない場合には、現在だけでなく将来の部屋割をイメージして間取りを選ぶ必要があるでしょう。
 
ただし費用面などから、必要な部屋数を確保できない可能性もあります。必要な部屋数を確保できない場合は、部屋を区切ったり家具選びを工夫したりして効率的にスペースを確保することが大切です。