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エコキュートは省エネ効果の高い給湯器です。一方でエコキュートについての情報をみていると、「やめとけ」といったネガティブな言葉も出てきます。本当にエコキュートはやめておくべきなのかを判断するには、正しい情報が必要です。
この記事では、エコキュートのデメリットとメリットを詳しく解説します。さらに、エコキュートをおすすめする家庭の特徴も紹介しているので、導入を検討している方はぜひ参考にしてくださいね。
エコキュートってそもそも何?
エコキュートは「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」の愛称です。家庭用の電気給湯器で、大気中の熱と少しの電気を使ってお湯を沸かします。
エコキュートを構成する機器は2つあります。エアコンの室外機のような形をしたものが「ユニット[1] 」で、冷蔵庫のような四角い形をしたものが「貯湯タンク」です。
ヒートポンプ内に取り込まれた大気の熱を圧縮することで温度を上げ、お湯を沸かすエネルギーにします。大気の熱を利用しているため、使用する電力を最小限に抑えられる点がエコキュートの特徴です。あたためられたお湯は貯湯タンクにためられ、水と混ぜて適温に調整しながら家庭内で利用されます。
【関連記事】給湯効率のいいエコキュートの仕組み! メリットやデメリットから選び方まで詳しく解説
なぜ「エコキュートはやめとけ」といわれるのか
エコキュートは、省エネ効果の高い給湯設備なのに、なぜ「やめとけ」といわれるのでしょうか。これは、デメリットの一部だけを切り取って判断されてしまっている可能性があります。
どんなに素晴らしい設備でも、万能なものはありません。エコキュートのデメリットをご紹介します。本当にエコキュートはやめとくべきなのか、検討する際の判断材料にしてくださいね。
導入にかかる費用が高い
エコキュートの初期費用の相場は約40〜80万円程度です。ガス給湯器が20〜40万円程度であるのと比べて、約2倍の導入費用が必要になります。ただし、エコキュートは一般的なガス給湯器よりも耐用年数が長いため、利用できる年数で考えると実際の価格差は2倍もありません。ガス給湯器の耐用年数は10年程度で、エコキュートは15年程度です。
最初の出費は多くなりますが、長く使えることも含めて判断しましょう。
お湯切れを起こしてしまうことがある
「エコキュートはやめとけ」といわれるもっとも大きな理由が、お湯切れの問題です。瞬間湯沸かし器のように、常時お湯をつくり出すわけではないため、一度に使えるお湯はタンク容量分だけとなってしまいます。お湯切れを防ぐためには、家族構成やライフスタイルに適した貯湯タンクのサイズを選ぶことが重要です。タンク容量の目安は、標準的な4人家族で460リットルサイズです。さらに家族が多い場合や、たくさんのお湯を使うのであれば、550リットルといった大容量のタンクをおすすめします。
また、最近のエコキュートは高機能化が進んでおり、お湯切れを起こさないようこまめにお湯を沸かしてくれる「湯切れ防止機能」を備えています。
水圧が弱い
一般的なエコキュートは、ガス給湯器と比べて水圧が低い傾向にあります。水道の水圧によってタンクに負荷がかかりすぎないよう、減圧弁で水圧を下げているためです。ガス給湯器の水圧が約500kPaほどに対して、エコキュートは約180kPa程度です。2、3階にバスルームやキッチンがある場合には水道直圧式の機種や水圧が高い製品を選ぶといいでしょう。また、シャワーヘッドを変えることで水圧が上がる可能性もあります。
動作音が気になる
エコキュートを設置すると一定の動作音が発生します。さらに、エコキュートは電気代の安くなる深夜に稼働することが多いため、余計に動作音が気になってしまうかもしれません。しかし、エコキュートの動作音自体は40dB〜50dBと、図書館のなかと同程度です。設置場所の工夫や防音対策で十分対応できます。
ご自身の家だけでなく、周辺の家屋への配慮も必要です。隣家の寝室付近には設置しない等の気遣いをしましょう。
実はメリットが大きいエコキュート
なぜエコキュートが「やめとけ」といわれるのかが理解できたのではないでしょうか。しかし、エコキュートにはたくさんのメリットもあります。
エコキュートの導入を検討する際は、デメリットだけに注目するのではなく、メリットと比較して総合的に判断することが重要です。光熱費の節約や災害対策にもなるエコキュートのメリットをご紹介します。
光熱費が安くなる
エコキュートは、多くの場合、年間の光熱費がガス給湯器よりも安くなります。たとえば2人世帯で都市ガスを使用した給湯器の場合と比較して、光熱費が毎月約5,850円も安くなるので年間だと約70,000円近く安くなります。コスト面では、エコキュートは初期費用の高さが「やめとけ」といわれる理由の1つです。しかし、年間光熱費がガス給湯器よりも安いため、初期費用の差額以上の節約効果を生む可能性があります。
断水時でもお湯が使える
エコキュートはタンクにお湯をためる方式のため、突然の断水時でもお湯を使えます。また、高台の住宅街などでは電力が途絶えると断水してしまうこともありますが、エコキュートであれば電気がなくてもタンク容量分のお湯は利用可能です。エコキュートで一般的なタンクサイズとなる370リットルの場合、3人家族が約3日生活するための水が確保できます。ただし、実際に使える水の量は、断水になったタイミングでタンクに残っているお湯の量次第という点には注意が必要です。
火災リスクが下がる
ガス漏れや火災リスクのあるガス給湯器と比べて、エコキュートは電気でお湯を沸かすため、火災リスクが下がります。また、火を使わないので不完全燃焼による一酸化炭素も発生しません。よって、エコキュートは安全性が高い設備です。環境にやさしい
エコキュートは、自然エネルギーである大気中の熱を取り込んでお湯を作ります。沸き上げの際に電力は必要ですが、ガス給湯器と比較すると資源を消費するエネルギーの使用量は限定的です。「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」という名の通り、冷媒にオゾン層を破壊するフロンガスを使用していません。
エコキュートの導入をおすすめする家庭の特徴
エコキュートは防災性や環境性の高さも魅力ですが、経済的なメリットがもっとも大きい給湯器といえるでしょう。
近年では、光熱費の高騰を受けて、生活費の節約に頭を抱える家庭も多いのではないでしょうか。そんな時に効果的なのがエコキュートです。
エコキュートの導入はどのような家庭に向いているのかをみていきましょう。
ランニングコストを削減したい
ランニングコストを抑えたい方に、エコキュートはおすすめです。初期費用はやや高額になりますが、ガス給湯器でも電気温水器でも、少なからず設置費用はかかるものです。ランニングコストも含めたトータルの費用で検討しましょう。とくにお湯を多く使う家庭であれば、エコキュートによって月々の支払い額が大幅に軽減されるため、初期費用の差額は比較的早く取り戻せます。2人世帯の場合でも、約5,850円安くなります。
太陽光発電を利用している
太陽光発電と併用することで、エコキュートのデメリットであるお湯切れのリスクを軽減できます。エコキュートは設定すると電気代の安い深夜にお湯を沸かしますが、太陽光発電があれば、日中にもお湯を沸かすことができます。日中にお湯を沸かすことができれば、万が一の停電時にも安心です。また、お湯を沸かす電力を太陽光発電でまかなうことで、電気代をさらに節約できるメリットもあります。
オール電化住宅にしたい
オール電化住宅を検討している方にとって、エコキュートは外すことのできない設備の1つです。電気温水器という選択肢もありますが、電気代が高くなりがちなオール電化住宅であれば、できるだけ消費電力を抑えられるエコキュートの導入をおすすめします。電気温水器の電気代はエコキュートの3倍ほどになります。また、オール電化住宅の場合、停電になってしまうとお湯を沸かせませんが、エコキュートであればタンクに残っている分はお湯を使用できます。
エコキュートはやめとけというのは条件による
エコキュートは万能ではありません。しかし、条件が合致する家庭であれば、光熱費の大きな節約効果をはじめとする多くのメリットを得られます。「エコキュートはやめとけ」といわれますが、エコキュートが向いているかどうかは、ライフスタイルなどの前提条件によって変わってきます。初期費用やお湯切れなどのデメリットを参考に、実際のお湯の使用量やリスク対策の観点も含めて検討しましょう。
※「エコキュート」は関西電力株式会社の登録商標です。
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