「太陽光発電を設置してみたいけど、本当にお得なの?」と、興味はあるけど不安な気持ちもあり、導入に踏み切れない方が多いのではないでしょうか。
 
国は2050年の脱炭素社会の実現に向けて、省エネ・CO₂の排出実質ゼロを目指して取り組んでいます。地球温暖化対策を推進するために、今後は太陽光発電付きの新築住宅が普及すると予想されます。
 
太陽光発電を設置すると多くのメリットがあります。しかし、設置後に後悔しないために、デメリットや注意点についても押さえておくべきです。
 
太陽光発電を設置した後も満足度が上がるよう、太陽光発電のメリット・デメリットとその対策についてご紹介します。

太陽光発電を設置する7つのメリット

太陽光発電を設置する7つのメリット
地球環境に優しく、家族みんなが安心して活用できる、太陽光発電を設置する7つのメリットをご紹介します。

メリット①電気代を削減できる

太陽光発電で発電した電気を自宅で自家消費することで、電気が0円で使えます。
 
電力料金は電力会社や使用量によって金額が異なりますが、「公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会」が定める電力料金の目安単価は1kWhあたり31円です。
 
また、システム容量が1kWの太陽光発電の場合、年間で1,000kWh程度の発電量を確保できるといわれています。
 
そのため、単純に概算するとシステム容量1kWの太陽光発電で発電した電気を、全て自家消費した場合、年間の電気代を31,000円節約することが可能です。

メリット②売電収入が得られる

太陽光を使って発電し、使いきれなかった余剰電力は電力会社に売電できます。販売価格は「FIT法」が定める「固定価格買取制度」によって決められています。
 
FIT法とは、再生可能エネルギーの普及促進を目的として作られた制度です。この制度によって太陽光発電を設置した年から10年間、一定の金額で電力を販売できます。

メリット③再エネ賦課金を削減できる

「再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)」とは、電力会社が再生可能エネルギーを買い取る際に発生する費用を、国民全体で負担するもので、電気料金に含まれています。
 
再エネ賦課金は2012年が0.22円/kWhだったのに対し、2022年には3.45円/kWhと、毎年上昇傾向にあります。たとえば、1か月の電力量が260kWhの場合、再エネ賦課金は月額897円、年額10,764円です。[注1]
 
太陽光発電を利用すると電気料金が節約でき、同時に再エネ賦課金の支払い額削減にもつながるのです。
 
[注1]経済産業省│2022年度の賦課金単価
https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220325006/20220325006.html
 

メリット④停電しても電気が使える

災害などによる停電時には、分電盤や周辺機器などに損傷がなければ、パワーコンディショナーを自立運転に切り替えて電気が使えます。
 
家電や携帯電話の充電など、必要な電力が緊急時でも使えるのは、太陽光発電の大きなメリットといえるでしょう。
 
蓄電池とセットで利用すれば、日中蓄えた電力を夜間も使用できるので、さらに便利です。

メリット⑤環境に優しい

太陽光発電はCO₂を発生させずに発電ができます。大気を汚染せず、発電のための資源を枯渇させることもありません。

メリット⑥補助金を使える場合がある

太陽光発電を導入する際にもっとも不安な点は、設置にかかる費用ではないでしょうか。
 
太陽光発電のみに対する国からの補助金は2014年で終了していますが、現在は「ZEH
(ゼッチ)住宅」を新築する際に、太陽光発電の設置を検討している人が申請できる補助金があります。
 
また、各自治体もさまざまな補助金制度を用意しています。補助金額はZEHの種類により異なり、申請期間も限られているため、ホームページなどで最新情報を確認しておきましょう。

メリット⑦断熱効果が高まる

太陽光パネルが遮熱板のような役割を持ち、屋根の断熱効果が高まります。夏は屋根への直射日光を遮り、冬は室内から外部への放熱を抑えるため、夏は涼しく冬は暖かい住まいづくりに役立つのです。
 
太陽光発電を設置した屋根は、そうでない住宅と比べて野地板(屋根本体を保持させるための下地)裏面温度が10度程度下がり、冬は5度ほど上がるともいわれています。
 

太陽光発電を設置する7つのデメリット

太陽光発電を設置する7つのデメリット
太陽光発電はメリットが注目される一方、導入前に知っておいたほうがよい注意点もあります。
 
特に、費用に関しては設置費用だけではなく、メンテナンス費もかかるため、事前に把握しておかないと「思っていたより高い買い物をしてしまった」と感じてしまうかもしれません。
 
太陽光発電を設置してから後悔しないよう、デメリットと対策について見ていきましょう。

デメリット①設置費用が高い

デメリット①設置費用が高い
太陽光発電を導入するためには、ソーラーパネル以外にも、パワーコンディショナーや架台などの設備が必要になります。それらの設備に工事費などを含めて、設置にかかる費用は一般的に、購入する場合100万円から150万円前後
 
【対策】
・初期費用0円で始められるリースを利用する(リース額は月々1万円から4万円程度)
・補助金を利用する
・低価格の海外メーカーを検討する    

デメリット②発電量は天候に左右される

悪天候など、気象条件により十分な電力量を得られない場合もあります。
 
発電量は天候によって左右されますが、一年間を通して見るとわずかな差であるため、心配しすぎることはありません。
 
【対策】
・蓄電池も活用する
・年間シミュレーションを利用し発電量の目安を調べる

デメリット③夜は使えない

太陽光発電は太陽が出ている時にしか使えません。そのため、夜になれば当然発電はできなくなります。
 
【対策】
・発電時の余った電力を蓄電池に蓄えておく

デメリット④住宅にパネルの重さがかかる

太陽光パネル1枚の重さは約15kgで、一般的なシステム容量5kWhの場合およそ20枚必要で、架台込みで合計約400kgの負担が屋根にかかります。パネルは複数の支点で重みを分散して設置されますが、築年数の経った住宅は耐荷重性が低くなるため、設置が可能か事前の確認が必要です。
 
【対策】
・新築の場合は設計の段階で相談する

デメリット⑤メンテナンスが必要 

太陽光発電の寿命は約20年といわれています。効率的に発電ができるよう、定期的な点検やメンテナンスが必要です。4年に1度の定期点検が推奨されており、費用は1万〜2万円です。
 
パワーコンディショナーは寿命が15年程度で、点検や交換の費用が合計約30万円かかります。その他、ホコリや花粉を除去する清掃費として3万〜6万円の費用も用意しておきましょう。
 
高所の作業は危険を伴うため自力で行おうとせず、専門業者に相談することが大切です。
 
【対策】
・おおよそのメンテナンス費用を算出しておく
・売電収入の一部をメンテナンス費として蓄えておく
・メーカー保証を利用する

デメリット⑥反射光のリスク

住宅が密集する地域で太陽光パネルを設置すると、反射した光が隣家の室内を照らしてしまう場合があります。
 
【対策】
・設置前に周辺環境を確認する
・業者や専門家にシミュレーションを依頼する

デメリット⑦売電価格の低価格化

FIT法により、10年間は一定の売電価格が保証されています。しかし、売電価格は年々値下がりを続けており、2023年に売電価格が17円/kWhから16円/kWhに下がりました。
 
そのため、太陽光発電を設置して10年が経過し、FIT法の適用が終了したあとは売電価格が大幅に下落するおそれがあり、大きな売電収入は期待できないかもしれません。
 

「住宅×太陽光発電」が注目されているワケ

「住宅×太陽光発電」が注目されているワケ
2050年までの「CO₂排出ゼロ」を目標に、国は中長期的な戦略を策定しました。その一つが「住宅×太陽光発電」の普及促進です。
 
太陽光発電が注目されている理由には、地球環境保全のほかにも、CO₂を排出しない発電方式である原子力発電所の事故などがあります。
 
これらの課題を解決するために「住宅×太陽光発電」は必須といえるでしょう。

2030年に6割の新築住宅に設置

地球温暖化の原因となる温室効果ガスを削減するため、2020年10月の臨時国会で「2050年までに脱炭素社会の実現を目指す」ことが宣言されました。
 
その施策の一つとして「2030年には新築戸建て住宅の6割に太陽光発電を導入する」という目標があります。
 
太陽光発電のある住宅は「省エネ住宅」と呼ばれ、そのなかでも「ZEH(ゼッチ)住宅」や「スマートハウス」は、省エネ性の高い住宅です。
ZEH住宅
「ZEH(ゼッチ)住宅」とは、太陽光発電などの自家発電を使ってエネルギーを創出し、住宅で消費するエネルギー年間収支を概ねゼロにする住宅です。
 
光熱費の節約や地球環境の負担軽減ができるZEH住宅は、高い断熱性も持ち合わせており、そこに住む家族も快適に過ごせるメリットがあります。
 
ZEH住宅を建てるには、地域や条件にもよりますが、省エネ対策として太陽光発電や高断熱素材の使用が必要です。
 
ZEHは戸建住宅だけではなく、マンションにも適用されます。集合住宅は低層から高層マンションまで階層がさまざまですが、階数などに応じてZEH基準が設定されています。

【関連記事】ZEH(ゼッチ)住宅とは? メリット・デメリットや補助金制度について詳しく説明!
【関連記事】ZEH(ゼッチ)マンションで光熱費ゼロって本当? 話題のZEHマンションの仕組みやメリットとは
スマートハウス  
「スマートハウス」とは、HEMS(Home Energy Management System)というシステムを用いて設備や家電をコントロールし、消費エネルギーを最適化する住宅のことです。
 
HEMSは電気以外のエネルギーを管理したり、外出先から操作したりできます。家庭内で使用する電力量や稼働状況を目で見て確認できるため、省エネ意識が高まるのがメリットです。
 
スマートハウスは「電気をつくり」「電気をためて」「効率的に使いたい」方におすすめの住宅です。
スマートハウス

まとめ

まとめ
太陽光発電を設置すると、電気代や再エネ賦課金が削減できるなど、経済的なメリットがあります。また売電収入を得ることも可能です。
 
CO₂を発生させない太陽光発電は、地球温暖化防止や将来のエネルギー不足問題を解決する手段の一つとしても、注目が高まっています。
 
さまざまなメリットがある一方、太陽光発電の設置費用やメンテナンス費などの確認も必要なので、発生する経費を予め計算しておきましょう。
 
災害時でも役に立つ太陽光発電を、活用しながら省エネ対策をしてみませんか。

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