分譲マンションの購入を検討している方のなかには、事前にメリットやデメリットを知りたい方も多いでしょう。
分譲マンションと賃貸マンションの違いを理解して、自身のニーズに合う物件を選ぶことが大切です。
この記事では、分譲マンションのメリットやデメリット、賃貸マンションとの違い、分譲マンション購入が向いている人の特徴について、わかりやすく紹介します。
分譲マンションの4つのメリット
国土交通省の「令和2年度住宅市場動向調査」によると、住まいに分譲マンションを選んだ世帯主の35.8%が30代であり、平均年齢は43.5歳となっています。分譲マンションは30代、40代を中心に人気があるようです。[注1]
また、分譲マンションは賃貸マンションと比べて「長く住むための住居」としてつくられており、さまざまな点でメリットを感じられるのがポイントです。
こちらでは分譲マンションを購入するメリットを4つご紹介します。
[注1] 国土交通省:令和2年度住宅市場動向調査 P.35
https://www.mlit.go.jp/common/001401319.pdf
メリット① 住戸の設備や共用部分のグレードが高い
分譲マンションは、購入者が長期間住むことを目的としてつくられているため、一般的な賃貸マンションではあまり見られないような住戸の設備や共用部分のグレードが高い傾向があります。以下のような設備が備わっていることが多いです。
・ファミリークローゼット
・広めのバルコニー
・食器洗い乾燥機
・Siセンサーコンロ
・浴室乾燥機や床暖房
・24時間ゴミ出しが可能なゴミ置場
また分譲マンションによっては、豪華なロビーやゲストルーム・コンシェルジュサービスを備えているほか、共用部分にラウンジやジム、プールやコンビニが設置されていることもあります。
メリット② セキュリティ対策がしっかりしている
分譲マンションは、オートロックや防犯カメラ、管理人による日勤管理など、賃貸マンションに比べて、よりセキュリティ対策に力を入れている物件が数多くあります。さらにセキュリティレベルの高いマンションでは、エレベーターに乗る際にもキーが必要だったり、居住階以外には停まらないようになっていたりと、さまざまな工夫がされており、防犯面において安心した生活ができます。
【関連記事】マンションのセキュリティ対策には何がある?防犯性の高いマンション選びのポイント
メリット③ 住戸の設備や内装を自分好みに変更できる
分譲マンションなら、住戸の設備や内装を自分好みに変更することもできます。マンション管理組合の管理規約で認められている範囲内であれば、リフォームやリノベーションが可能です。将来子どもが生まれた場合や、高齢化した親と同居することになった場合など、ライフイベントの変化に合わせて住宅設備機器の設置や、間取りの変更ができるのは分譲マンションならではの魅力です。
メリット④ 資産として保有できる
分譲マンションは、一戸ずつ販売されるため、自身の住戸を資産として保有できます。そのため「賃貸マンションに毎月家賃を支払うのであれば、早いうちに分譲マンションを購入しよう」と考える方も多くいます。住宅ローンを組む際には、賃貸マンションの家賃と同じくらいの支払額に設定することで、無理なく返済できるでしょう。
また団体信用生命保険に加入すれば、万が一、ローン契約者が病気や事故に遭っても、家族に住宅ローンの残債を負担させず、住まいを資産として残すことができます。
団体信用生命保険とは、住宅ローンの返済期間中にローン契約者が死亡または所定の高度障がい状態(身体に重い障がいを負った状態)に陥った際、住宅ローンの残債を肩代わりする保険制度です。
さらに、ローン返済後は売却したり、賃貸として貸し出したりすることで収益化も可能になります。また、子どもに相続しても喜ばれるといったメリットもあります。
分譲マンションの4つのデメリット
一方、分譲マンションにはデメリットもあります。
賃貸マンションからの住み替えなどで分譲マンションの購入を検討している方は、分譲マンションのメリットだけではなく、デメリットも事前に考慮しましょう。
デメリット① 購入時にまとまった資金が必要になる
分譲マンションを購入する場合、売買契約時にある程度まとまったお金を準備しておく必要があります。たとえば、購入時の初期費用として次のようなものがあります。頭金 | 物件価格の10%~20%程度 |
購入諸費用(税金や手数料の支払い) | 物件価格の3%~10%程度 |
分譲マンションを購入する場合は、頭金と購入諸費用を合わせた金額を準備しておかなければなりません。
デメリット② 月々の管理費や修繕積立金の支払いが発生する
戸建て住宅と違い、分譲マンションには住宅ローンの返済以外にかかる費用があります。頭金や購入諸費用などの初期費用だけではなく、月々の管理費や修繕積立金の支払いも発生します。さらにこれらの支払い額は年々上昇していきます。国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果」によると、管理費の平均金額は15,956円、修繕積立金の平均金額は12,268円です。住宅ローンの支払いに加えて、毎月平均28,224円程度の管理費・修繕積立金の支払いが発生する可能性があります。[注2]
そのほか、固定資産税・都市計画税など、税金の支払いも考慮し、無理のない範囲で資金計画を立てる必要があります。
[注2] 国土交通省:平成30年度マンション総合調査結果〔概要編〕
https://www.mlit.go.jp/common/001287412.pdf
デメリット③転居しづらい
分譲マンションのデメリットとして、転居しづらいという点があります。分譲マンションは住宅ローンを申し込むケースが多く、転居するには住宅ローンを完済しなければならないためです。
また、不動産仲介業者を通じて物件を売ることもできますが、仲介手数料がかかる、購入希望者がなかなか見つからない、赤字になってしまう、といった問題が発生するおそれもあります。
デメリット④ 管理規約の制限がある
分譲マンションには、建物内の住人同士が快適に暮らせるように、管理規約が制定されています。チェックしておきたい管理規約には、次のようなことがあります。
・リフォームは自身の住戸である専用部分のみ可能
・ペットを飼う場合には頭数や、犬の場合小型に限られるなどの制限がある
・楽器の演奏可能時間が決まっている
・ゴミ出しの時間が決まっている
分譲マンションの購入を検討する際は、設備やセキュリティ面以外にも、自身のライフスタイルに適しているかや、継続してペットを飼育できるかなど、管理規約の内容も事前にチェックしておきましょう。
分譲マンションと賃貸マンションの3つの違い
住居を探す際に、分譲マンションと賃貸マンションを比較する方は多いでしょう。では、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
こちらでは、分譲マンションと賃貸マンションの主な違いを3つ紹介します。費用や設備面だけではなく、どのようなライフスタイルを送りたいかによっても選ぶべき物件が変わります。それぞれの特徴を把握して、ニーズに合う物件を選択しましょう。
必要な費用
分譲マンションを購入する際には、初めに頭金や登録費用、不動産取得税などの支払いが発生します。また購入後にも固定資産税やマンション管理費、修繕積立金などがかかります。さらに、毎月支払う必要がある管理費と修繕積立金の月平均は約22,000円です。
上記の額だけを見ると、分譲マンションに住むには高額な費用が必要となる印象を受けるかもしれませんが、住宅ローンを完済すれば、毎月の負担は軽くなります。
一方、賃貸マンションを借りる際には、入居時に物件により敷金や礼金、仲介手数料が発生します。その後は家賃や共益費、契約期間が設定されている場合は更新料を支払うことで継続して住み続けられます。
物件にもよりますが、一般的に更新期間は2年で、更新料として家賃の1ヶ月分を支払うケースが多いでしょう。
物件の設備や共用施設
分譲マンションは、購入する人が長期的に住むことを想定してつくられています。そのため、物件の設備や共用施設が充実しているケースが多いです。また、分譲マンションの場合、居住スペースは自身の所有物であるため、リフォームして住居を自由にカスタマイズできますが、賃貸マンションの多くは、分譲マンションほど住居や共用部分の設備は充実していないほか、個人的な理由でリフォームを行うことはできません。
ただし、賃貸マンションの物件にも多様性があり、宅配ボックス付きやセキュリティが充実している物件などもあります。譲れない条件を定めることで、自分好みの物件が見つかるでしょう。
居住期間の長さ
分譲マンションを購入する方は、物件の所有者として継続して長く住むことを目的としています。なかには家賃収入を得るために、購入した物件を貸し出す人もいますが、購入してから長期間住み続けるのが一般的です。一方賃貸マンションは、分譲マンションに比べて短期間で引っ越す方が多いです。
賃貸マンションから引っ越したい場合には、引っ越しの1ヶ月前までに申請すれば概ね退去が可能です。そのため、転職や結婚などのライフスタイルの変化に応じて気軽に転居したい人に適しています。
分譲マンション購入が向いているのは?
住宅購入には、新築分譲マンションのほかにも注文住宅・新築戸建て住宅・中古戸建て住宅・中古マンションなどの選択肢があります。
こちらでは、どのような方に分譲マンションが向いているのかをみていきます。分譲マンションが提供するサービスが、希望の生活スタイルに適しているか確認してみましょう。
周辺環境や共用施設の利便性を重視したい
分譲マンション購入が向いているのは、立地の良さを重視し利便性を求める方や、居住性の良さを求める方です。戸建て住宅と比べると分譲マンションは、駅やバス停に近いことや、学校や大型ショッピングモールに近いことがメリットとして売り出されているものが多くあります。
また分譲マンションには、共用施設部分にコンビニやコンシェルジュサービス、さらにはゲストルームが用意されているところもあります。共働きで忙しい家庭や、高齢の方、来客が多い方にはうれしいサービスでしょう。
手間をかけず快適に長く住み続けたい
分譲マンションの場合、建物や共用部分を個人で維持管理する必要がありません。ローンを完済した後は管理費や修繕積立金、年に一度の固定資産税を払うのみで住み続けられるため、賃貸マンションに比べて支払いの負担が軽くなります。
さらに、ライフスタイルに合わせてリフォームすることで、快適に長く住み続けられます。高齢になり足腰が不自由になった場合でも、マンションの規約範囲内で室内をバリアフリー化することができます。
【まとめ】
分譲マンションには、ハイグレードな住居設備が整っており、共用部分でも充実したサービスが受けられるメリットがあります。しかし、購入時にまとまった資金が必要な点や、月々の管理費や、修繕積立金の支払いが発生する点から、分譲マンション購入にあたっては綿密な資金計画を立てることが大切です。
分譲マンションのメリット・デメリットを比較して、ライフスタイルに合う理想の住まいを探してみてはいかがですか。
▽新築分譲マンションのご案内はこちら▽
[注1] 国土交通省:令和2年度住宅市場動向調査 P.35
https://www.mlit.go.jp/common/001401319.pdf
[注2] 国土交通省:平成30年度マンション総合調査結果〔概要編〕
https://www.mlit.go.jp/common/001287412.pdf