【5年が目安】新築のシックハウス症候群の影響はいつまで? 建築前後にできる対策を紹介

【5年が目安】新築のシックハウス症候群の影響はいつまで? 建築前後にできる対策を紹介
家の新築やリフォーム直後は、シックハウス症候群を発症しやすくなります。シックハウス症候群は目・鼻や喉だけでなく、頭痛や吐き気など様々な症状を引き起こします。
 
シックハウス症候群を心配されている方の中には、どの程度の期間注意が必要なのか知りたいという方は多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、新築の家でシックハウス症候群が発症しやすい期間や対策について解説します。新築とリフォーム後の注意点と対策を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

新築のシックハウス症候群はいつまで?目安は5年

新築のシックハウス症候群はいつまで?目安は5年
新築のシックハウス症候群の原因となる主な物質は「ホルムアルデヒド」です。ホルムアルデヒドは人の粘膜や肌を刺激して、健康被害を引き起こします。
 
ホルムアルデヒドの発生源は、主に壁や天井などに使われる合板の接着剤です。建築基準法が改正され、ホルムアルデヒドの発散量が一定以上になる住宅建材の使用範囲を制限する規制などが設けられました。
 
ホルムアルデヒドは、5年程度の時間の経過で発散が収まると考えられています。建築基準法の規制では「建築物の部分に使用して5年経過したものについては、制限なし」とされていることから、新築の家でシックハウス症候群を発症しやすい期間は5年が目安になります。
 
ただし5年経過後も家具などの調度品を新調すると、その素材からもホルムアルデヒドが発散される可能性があるため、引き続き対策は必要です。
 

シックハウス症候群の症状

シックハウス症候群の症状
シックハウス症候群の主な症状は、建材等に含まれる有毒物質による健康被害、体調不良です。体に現れる主な症状は以下のとおりです。
 
  • 目:涙目や目のチカチカ感
  • 鼻:刺激感や乾燥、鼻水
  • 喉や口:乾燥、咳、喉の痛み
  • 肌:じんましんや湿疹
  • その他:頭痛やめまい、吐き気、疲れやすさ、呼吸器疾患など
 
目・鼻や口の違和感だけでなく、頭痛や吐き気などの症状も深刻です。全身に強い倦怠感が出てくると、日常生活に大きな影響を与えます。家にいる間、このような症状が複数同時に現れる場合、シックハウス症候群の可能性が高いと考えましょう。

シックハウス症候群の原因

シックハウス症候群の原因 シックハウス症候群の主な原因は、建材に含まれる化学物質です。主に「構造用合板の接着剤」や「塗料や防腐剤」に含まれる「ホルムアルデヒド」や「アセトアルデヒド」が原因と考えられています。
 
化学物質は建材が新しいほど多く放出されるため、新築の家では最初の数年間は濃度が高くなります。時間が経つにつれて放出量は減少しますが、完全にゼロになるわけではありません。
 
また、室内に使われる家具などのインテリア用品も化学物質の発散源となります。例えば、安価な合板や化学塗料を使用した製品は、シックハウス症候群のリスクを高める可能性があります。

シックハウスであるか判断するためのセルフチェックリスト

シックハウスであるか判断するためのセルフチェックリスト
自身の家がシックハウスであるかは、専門機関に化学物質の測定をしてもらうことで判断できます。まずは自身でシックハウスの可能性を確認したいという方は、以下の項目をチェックしてください。対応する箇所が多い場合には、シックハウスである可能性があります。
 
  •  
  • 家にいるとき目鼻や肌の炎症、頭痛・吐き気を感じる
  • 家を出ると炎症・頭痛・吐き気の症状が軽くなる
  • 家の中で異臭や刺激臭を感じる
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これらの項目はあくまでセルフチェック用であるため、疑いがある場合は専門機関に調査を依頼してください。症状が続く場合には、医療機関への相談もおすすめします。

新築を建てる際にできるシックハウス対策

新築を建てる際にできるシックハウス対策
新築やリフォーム直後の家では建材から発散される化学物質の濃度が高いため、シックハウス症候群を発症しやすくなります。しかし使用する建材を変えるなどの方法で、シックハウス症候群になるリスクは下げられます。これから家を建てる方は、建築時にここで紹介するポイントをハウスメーカーや設計事務所に確認してください。

化学物質の放散量が少ない建築資材を使う

化学物質の放散量が少ない建材を選ぶことで、シックハウス症候群になるリスクを減らせます。シックハウス症候群のリスクが低い建築資材は、ホルムアルデヒドの放散速度を示す基準であるJIS及びJASの「Fスター」の表記で確認できます。
 
「Fスター」とは、建築資材のホルムアルデヒドの放散速度の等級を示す指標です。等級は3段階あり、星の数が多いほど放散速度が低くなります。
 
  • F☆☆☆☆:建築基準法における規制の対象外(使用に制限なし)
  • F☆☆☆:第三種ホルムアルデヒド発散建築材料(使用に制限あり)
  • F☆☆:第二種ホルムアルデヒド発散建築材料(使用に制限あり)
 
「F☆☆☆」「F☆☆」の建築資材は、建築基準法で使用できる面積が制限されています。使用される建材については施工会社に確認してみましょう。

化学物質の放散量が多い塗料や接着剤の使用を減らす

シックハウス症候群のリスクを避けるためには、化学物質の放散量が多い塗料や接着剤の使用を極力減らすことが大切です。例えば、塗料では「油性ペイント」や「アルキド樹脂塗料」、接着剤では「でんぷん系接着剤」にはシックハウス症候群の原因となる化学物質が含まれています。
 
一方で化学物質の拡散がほとんどないとされる接着剤は「酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤」「ビニル共重合樹脂系エマルジョン形接着剤」など数多くあります。建築開始前に、施工会社にどのような塗料や接着剤を使用するのか確認しておきましょう。

換気設備を充実させる

シックハウス症候群対策には、換気設備を十分に配置することが大切です。現在の建築基準法では、住宅における換気回数を0.5回/h以上とする機械換気設備の設置が義務付けられています。特に気密性の高い住宅では、自然換気だけでは不十分な場合が多いため、機械換気設備を多く設置することが求められます。

床は国産無垢材を使う

新築住宅の床材には、化学物質のリスクを減らせる国産無垢材の利用がおすすめです。海外から輸入される建材は、防虫や防疫のために化学物質を用いた消毒がなされていることが多く、シックハウス症候群の原因になる可能性が高くなります。
 
一方で国産の杉やヒノキなどの無垢材は、自然のままの木材を使用しており化学物質は含まれていません。無垢材は経年劣化によって風合いが良くなるなど、デザイン面でも魅力です。

新築入居後にできるシックハウス対策

新築入居後にできるシックハウス対策
シックハウス対策は、化学物質の少ない建材を使うなど建築時の対策が効果的です。一方で、家の新築完成後でもできる対策もあります。こちらでは、家の完成後でも効果の高い4つのシックハウス対策を紹介します。

天然素材の家具やカーテンを使う

新築入居後にできるシックハウス対策の1つとして、化学物質の放散量が少ない天然素材の家具やカーテンを選ぶことが挙げられます。例えば「無垢材を使用した家具」や「綿やリネンなどの天然繊維を使用したカーテン」は、化学物質を含まないため安心して使用できます。
 
製品によっては、ホルムアルデヒドの放散速度を示す表示がされているので、購入前に確認してみましょう。

換気を十分に行う

日常的な換気は、シックハウス対策として効果的です。特に気密性の高い家は化学物質が溜まりやすい構造になっているため、定期的な換気が欠かせません。換気を行うことで、ホルムアルデヒドなどの化学物質を室外に排出し、室内の空気を正常に保てます。
 
換気システムはフィルターの掃除や交換を定期的に行うなどのメンテナンスを行うことで、効果を最大限に保てます。

空気清浄機を使う

換気だけでなく、空気清浄機を利用することも有効です。空気清浄機は「HEPAフィルター(高効率粒子捕集フィルター)」や「活性炭フィルター」など、化学物質を除去する能力のあるフィルターを備えた製品がおすすめです。
 
「HEPAフィルター」は花粉やカビの胞子などの微細な粒子も除去できます。「活性炭フィルター」はホルムアルデヒドやトルエンなどの揮発性有機化合物を吸着し、室内の空気を正常に保つ役割を果たします。定期的なフィルター交換も忘れずに行い、常に最高の性能を維持できるようにメンテナンスをしましょう。
 

新築のシックハウス症候群の影響は5年が目安

新築のシックハウス症候群の影響は5年が目安
新築のシックハウス症候群の影響は、5年が目安とされています。しかし「建築時に使用する建材の種類」や「日常的な家のメンテナンス」によって、シックハウス症候群の影響が出る期間は変わります。
 
建築時には化学物質の少ない建材を選び、換気設備を充実させることが大切です。また国産無垢材を使用することで、室内の化学物質の濃度を抑えられます。
もしシックハウス症候群の症状が現れてしまった場合は、早めに専門家に相談して適切に対処しましょう。