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「アパートとマンションって何が違うの?」「家を借りる際にどちらがおすすめか知りたい」と気になる方は多いのではないでしょうか。毎日過ごす家だからこそ、納得した上で選びたいものです
実は、アパートとマンションには法律上で決められた定義はありません。オーナーや不動産会社が独自に決めているため、同じ条件の物件でもアパートと呼ばれる場合とマンションと呼ばれる場合があります。
本記事では、アパートとマンションを区別する際によく参考にされる5つの観点を解説します。また、それぞれに住むメリット・デメリットや家探しの前に検討しておくべき3つの条件も合わせて説明します。引っ越しを考えている方は参考にしてください。
アパートとマンションの5つの違い
アパートとマンションには、違いを分ける明確な定義は存在していません。建築基準法や宅地建物取引業法では、どちらの物件も「共同住宅」であり区別されていないのです。不動産登記簿謄本にも「鉄筋コンクリート造5階建」のように構造表記しかありません。
私たちが目に触れる情報は、ハウスメーカーや不動産会社、オーナーなど物件に携わる関係者が独自に定義したものです。本章では、アパートとマンションを区別する際に用いられる5つの違いについて解説していきます。
構造
アパートとマンションを区別する際に、最も使われる定義が構造です。主に木造と軽量鉄骨をアパート、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造をマンションと呼びます。これは、安心できる不動産情報を提供することを目的に組織されている不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)【注1】で定められている定義でもあります。また、2階建てまでをアパート、3階建て以上をマンションというように、階建てで判断されるケースも多いです。
これらは参考指標のため、3階建て以上の軽量鉄骨など条件が混在した場合には、不動産会社によって呼び方が異なる場合があります。
【注1】https://www.rsc-web.jp/qa_i/
耐震性
マンションの構造である、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造は高層ビルにも使われる構法で非常に耐震性に優れています。特に鉄筋コンクリート造では、引っ張る力に耐久性がある鉄骨と圧縮に強いコンクリートの両方を用いているため、大きな地震にも耐えられます。また、木造物件でも3階以上の場合は、マンションと呼ぶこともあります。物件を探す際に見る不動産ポータルサイトでは、マンションと定義可能な木造住宅の住宅性能を以下のように定義しています。
新築・既築を問わず「住宅性能表示制度による住宅性能評価書」にて、耐久性において以下1.を満たした上で、耐震・耐火性において、以下2.を満たすもの。
1.「劣化対策等級が等級3」
2.「耐震等級が等級3、または、耐火等級が等級4」もしくは耐火構造
引用:アパートとマンションの違いとは? プロが教える希望条件別の部屋選び
耐震等級3は消防署や警察署などの建物基準と同程度で、耐火等級4は外壁や軒裏など延焼の恐れがある部分すべてに60分以上の耐火時間がある建物です。つまり、ポータルサイト上に記載されているマンションは、木造住宅だとしても耐震性に優れた物件であることが分かります。
耐火性
可燃性の素材である木造よりも不燃性である鉄骨でできているマンションの方が耐火性能に優れます。前述の通り、不動産ポータルサイト上では耐火等級4もしくは耐火構造をもつ木造物件はマンションと記載可能です。そのため、マンション表記のある物件の方が耐火性が高いと判断できます。また、耐火性は「耐火対策されているか」も重要です。対策には「耐火構造」「準耐火構造」「防火構造」の3種類があります。
耐火・準耐火構造は壁や床などが一定の耐火基準を超えている構造で、火災時に倒壊や延焼を防ぎます。防火構造は、周囲の建物で発生した火災に巻き込まれない構造であり、内部で発生した火災には強くありません「耐火構造>準耐火構造>防火構造」の順で耐火性が高くなります。
アパートよりマンションの方が耐火性に優れる場合が多いですが、耐火対策の有無まで確認できると安心です。
防音性
防音性能はL値で表記され、数字が低いほど防音性能が高くなっています。下表に記載のある通り、木造や軽量鉄骨は、鉄骨造に比べて壁が薄いことが多く、隣や上の部屋の音が聞こえやすいです。床の防音性能を表すL値で、構造別の音の聞こえやすさを比較してみましょう。【注2】遮音等級(低い方が防音性が高い) | 建物構造 | 音 |
L-75 | 木造 | 隣室のテレビが聞こえる |
L-65 | 軽量鉄骨造 | 生活音が聞こえる |
L-60 | 重量鉄骨造 | 足音やドアの開閉音が聞こえる |
L-50 | 鉄筋コンクリート造 | 子供の走り回る音は聞こえる |
L-40 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 | ほぼ周囲の音は聞こえない |
上記の表の通り、マンションで用いられる建物構造のほうが防音性に優れていることが分かります。
また、防音性に関わる壁の厚さもマンションの方が厚いことが多いため、防音性が高い家に住みたい方はマンションがおすすめです。
【注2】日本産業標準調査会「JIS規格詳細画面」
断熱性
断熱性は、壁の厚みや隙間の有無によって決まります。木造住宅や軽量鉄骨であるアパートでは、壁が薄く隙間が多いこともあるため、断熱性が低く寒さを感じやすくなります。一方、マンションでは6mm以上の鋼材を使っていることが多く、壁の厚みもあり断熱性に優れています。断熱性が低いと冷暖房の効率が悪くなり電気代が多くかかります。その場合は以下のような対策を検討してください。
● カーペットやマットを敷く
● 厚手のカーテンを設置する
● ドアや窓に隙間を埋めるテープを貼る
賃貸物件でも可能な対策方法のため、断熱性を改善したい方は試してみると良いでしょう。
マンションとの違いから見る、アパートに住むメリット・デメリット
アパートに住む際のメリット・デメリットを、マンションと比較していきます。一番大きなメリットは家賃や初期費用など出費が減らせる点です。一方で住宅性能や設備などスペック面で比較すると、マンションに劣ることが多いです。
自分にとって優先したいポイントをイメージしながらお読みください。
アパートに住むメリット
アパートはマンションと比較して使う資材や造りが簡素であるため、建築費が抑えられます。そのため、広さや立地・築年数がよく似た物件の場合、アパートの方が家賃が安く済むことが多いです。家賃が安いと、敷金礼金や仲介手数料などの初期費用も安くなります。またアパートはエントランスやエレベーターがなかったり、共用設備がマンションより少なかったりすることがあるため、家賃と一緒に払う管理費・共益費も安くなります。毎月のランニングコストを抑えて、お得に暮らせる点がメリットです。
木造の場合は通気性が良いため、結露が発生しにくい点も嬉しいポイントです。空気が循環しやすく、木材の調湿機能で湿度を保ってくれるため、ジメジメした空気がこもりにくく快適に過ごせます。
アパートに住むデメリット
アパートに住むデメリットは住宅性能の低さです。構造上、耐震・耐火性能はマンションと比較しても劣り、災害時の安全性には不安が残ります。また、壁の薄さや隙間の多さから気密性は低いです。気密性が低いと、冷暖房効率が悪くなったり周囲の音が気になったりするデメリットがあります。住人が少なく顔を合わせやすいアパートの場合、騒音トラブルになる可能性もあるため注意が必要です。
2階建て以下でエントランスやオートロックがない場合は防犯性も低いため、事前に周囲の環境も確認しておきましょう。
アパートとの違いから見る、マンションに住むメリット・デメリット
アパートと比較しながら、マンションに住むメリット・デメリットを解説します。駅徒歩分数や築年数が似た条件の場合、アパートよりもマンションの方が家賃は上がりますが、設備や防犯面が充実しており、住宅性能の高さは優れています。
マンションに住むメリット
マンションのメリットは、耐震・耐火性に優れることです。コンクリートを地下深くまで打ち、基礎をしっかりさせることで災害に強い建物が実現します。鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造では、メンテナンス次第で100年以上もつ、高い耐久性も誇るため、火災に強く老朽化もしにくいです。ただし、耐震基準は1981年6月より新しくなっているため、それ以前に建てられた物件では現在の耐震基準を満たさない可能性があります。
また、アパートと比較した時にエントランスやオートロック、防犯カメラといった防犯性の高い設備が設置されている場合が多くあります。安心して快適な設備で暮らしたい方は、まずはマンションから探してみると良いでしょう。
マンションに住むデメリット
マンションに住むデメリットは「家賃が高い点」と「結露が発生しやすい点」の2つです。建築費が木造や軽量鉄骨の住宅に比べて高いため、アパートと比較した際に家賃が高くなります。さらに、内装・設備グレードが良いものであるため、毎月の管理費や退去時の原状回復費も高くなります。
また気密性が高いため、防音性を高めるメリットがある一方で、湿気がこもり結露が発生しやすくなります。湿気を調整するために定期的な換気を行う必要がありますが、24時間換気システムが付いているマンションであれば問題ないでしょう。
【関連記事】24時間換気システムとは? 種類ごとの特徴やお手入れ方法について解説
アパートとマンションで事前に検討しておくべき3つの条件
住む家を決める際には、譲れない条件を決めておくことが大切です。アパートとマンションのメリット・デメリットを元に、ご自身の条件に当てはめていけば、自ずと希望の物件が見えてくるでしょう。
何も検討せずに良い物件から見てしまうと、なかなか条件を落とせなくなるため、内見に行く前に各条件の最低ラインと上限を決めておくことをおすすめします。
①家賃
最初に決めるべき条件は家賃です。毎月発生する費用であるため、払い続けるためには収入や他の支出とバランスを取らなければいけません。家賃の目安は、手取り収入の3分の1程度が一般的です。ただし、生活費・固定費といったライフスタイルの違いや貯蓄額によって、家賃にかける金額は変わります。まずは、今ある収入と支出を洗い出し、目安を設定しましょう。
目安を設定しても部屋探しを始めると、良い条件の部屋が気になってしまい、目安より少しづつ家賃が上がっていってしまうものです。そのため、目安はあらかじめ少し低めに設定しておくことがおすすめです。
②広さ・間取り
広さ・間取りは、まずその家に住む人数を基準に決めていきましょう。国土交通省が発表している「住生活基本計画」【注3】では、世帯人数に応じた最低限必要な面積と快適な暮らしを送るための面積が記載されています。最低居住面積 (健康で文化的な住生活の基礎) |
誘導居住面積 (豊かな住生活の実現) |
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単身 | 25㎡ | 40〜55㎡ |
2人 | 30㎡ | 55〜75㎡ |
3人 | 40㎡ | 75〜100㎡ |
快適な水準に幅があるのは、都市部と郊外で広さや家賃の差があるためです。また、部屋数はライフスタイルによっても変わります。自宅で仕事をすることが多い方はワークスペース用の部屋を確保するなど、生活をイメージをしながら間取りを決めていきましょう。
【注3】住生活基本計画における「水準」について
③必要設備
必要な設備も事前に洗い出しましょう。例えば、女性の一人暮らしであれば防犯性を高めるために、以下のような設備があると安心です。● オートロック
● 防犯カメラ
● 電子キー
● 面格子付き窓
料理が好きな方は三口コンロや広めのキッチン、外出が多い方は浴室乾燥機や宅配ボックスなど生活スタイルで何を重視するかによって必要な設備は変わってきます。
今住んでいる家で満足している設備は何か、何があったら生活がより便利になるかを考えながら、必要な設備を洗い出してください。ただし、設備を充実させると家賃も比例して上がります。必要な設備を洗い出す際は、優先順位をつけることも忘れないようにしましょう。
マンションの家賃が高いと感じるなら、購入も検討してみましょう
「賃貸でマンションに住みたいけど家賃がもったいない」と感じた場合は、購入も検討してみましょう。ご自身の資産になることはもちろん、比較検討をしっかり行えば賃貸に支払う家賃と同程度で、よりスペックの高い家に住める可能性があります。
アパートとマンションの違いを元に、ご自身の優先したいポイントを元に、購入の選択肢も含めて検討することをおすすめします。