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タワーマンション(以下「タワマン」)は、一般のマンションとは違う充実した設備や眺望の良さなどから、ステータスの高い住まいとして多くの人があこがれる物件です。
また、供給戸数が増えてきたことにより、かつては富裕層向けの住まいだったタワマンも、階層やエリアなどによっては現実的な価格の物件も見かけるようになりました。
しかし、意外なことに「タワマンに住んで後悔した」という声も聞こえてきます。しかも、後悔する理由のなかには、タワマンのメリットと思われる内容も含まれています。
今回は、タワマンに住んで後悔したことや、失敗しないためのポイントを詳しく解説します。これからタワマンの購入を検討している方はぜひ参考にしてください。
タワマン生活の意外な盲点
「最高の眺め」「充実した設備」「生活に便利な立地」、多くの人は、今より上質な暮らしをイメージしてタワマンを選びます。しかし、実際にタワマンで生活してみると、「後悔した」という声も少なくありません。
まずは、タワマンの構造や、生活するうえで気になる意外なポイントをご紹介します。
タワマンの構造と設備
一般的には、フロア階数が20階以上、高さ60mを超える高層マンションをタワマンと呼びます。意外にもタワマンの定義に法的根拠はありません。しかし、構造上の安全基準や、100m以上の場合は緊急用ヘリポートの設置が義務付けられるなど、高層建築物としての安全性は関連法で厳しい基準が設けられています。
タワマンには、一般のマンションにはない魅力がいくつもあります。最大のポイントは高層階からの眺望です。仮に100mのタワマンなら、最上階はもちろん、中層階でも一般的なマンションより高さがあるため、多くの部屋で開放感や夜景を楽しめます。
また、設備が充実している点もタワマンが人気を集める理由の1つです。万全のセキュリティ体制が整っているほか、キッズルームやジム、ゲストルームまで完備しているところもあります。
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生活の利便性
タワマンでの生活で見逃されがちなのが、実生活をするうえで欠かせない外出時の手間です。利便性の高さでタワマンを選んだものの、実際には生活がしにくかったという声も聞かれます。タワマンは広い敷地に建設される傾向があり、マンションの敷地外までの距離が遠い物件も少なくありません。タワマン自体の立地要件がよく、周辺環境が整っていても、実際に部屋から目的地に向かうまでに多くの時間がかかれば、外出が億劫になってしまうおそれがあります。
「スーパーまで徒歩5分」「駅が近い」といった表面上の情報に惑わされることなく、現在の生活スタイルからの変化をしっかりとイメージして選びましょう。外出の手間は毎日の生活にかかわってくるので、小さな不満が大きなストレスにつながることもあります。
タワマンに住んで後悔したこと7選
タワマンに住んで後悔したこととして、よく挙げられる7つのポイントをご紹介します。イメージとは大きく異なる点や、まさかと思う意外な点もあるので、タワマン購入を検討している方はぜひ参考にしてください。
もちろん、すべてのタワマンに当てはまるわけではありません。しかし、後悔しやすいポイントを事前に把握しておくことで、マンション選びがスムーズに進み、より自分に合った物件を見つけられます。
①維持費が比較的高額
一般的なマンションと比べると、タワマンの管理費や修繕積立費といった維持費は高い傾向があります。規模が大きく豪華な設備のあるタワマンでは、それだけ大きな金額が必要になるためです。国土交通省が発表した「2.管理組合向け調査の結果」[注1]で、どれくらい維持費が違うのかを確認してみましょう。
・マンション全体の平均価格
管理費:月額10,970円
修繕積立費:月額11,060円
合計:22,030円
・20階建以上のマンションの平均価格
管理費:月額15,726円
修繕積立費:月額12,305円
合計:28,031円
一般的なマンションとタワマンでは、毎月かかる維持費におよそ6,000円の差が生まれます。
②共用施設の予約がとりにくい
ジムやキッズルーム、ゲストルームなど、せっかく豪華な共用設備が整っていても、予約がとりにくく、思うように利用できないケースもあります。戸数が多く、維持費をかけられるからこそ用意されている設備ですが、その分住民の数も多く競争率が高まるためです。共用設備の利用を期待してタワマンを購入する際には、予約方法や使用上限回数などを事前に確認しておくことをおすすめします。なかには利用料が毎回かかる場合もあります。また、中古のタワマンなら、共用設備の利用者数や混雑状況について不動産会社を通じて調べておくと安心です。
③ベランダに洗濯物を干せない
ベランダに洗濯物を干すことが禁止されているタワマンもあります。また、もともとベランダの設置がされていないところも珍しくありません。おもな理由は、強風時に洗濯物が飛ばされてしまう危険性があるためです。とくに高層階では、地上でさほど風が吹いていない場合でも、強風にさらされることもあります。また、景観上の理由から禁止されているケースもあるので、事前に規約を確認しましょう。
④地震や風で揺れる
高層階になるほど、地震や風で建物が揺れた際の影響が大きくなります。タワマンに住んで初めて地震を経験すると「予想以上に揺れた」と恐怖を感じる人も少なくありません。また、台風時の強風によって揺れが長時間続くこともあります。地震でも風でも部屋が揺れると不安に感じるものです。とくに「揺れ」が苦手な方は、実際にタワマンに住む人や不動産会社によく確認しましょう。
一方で、ほとんどのタワマンは、震度6強〜7程度の地震でも倒壊しないとされる「新耐震基準」で建てられているため、構造上揺れること自体は避けられませんが、構造的には地震に対して強い建物です。また、免震構造を採用しているタワマンであれば、制震構造に比べて揺れによる影響が軽減されます。
耐震・免震・制震の違いは?それぞれの特徴やメリットについて
⑤携帯電話の電波が入りにくい
タワマンの高層階に住むと、携帯電話の電波が入りにくいことがあります。電波を発する基地局が、部屋の高さより低い位置にあるためです。一般的に基地局は、地上約40mを目安に設置されています。地上40mだと13階程度の高さしかありません。タワマンの高層階からはかなり距離が離れてしまうため、電波が弱まってしまいます。
⑥エレベーターが混雑する
一部の低層階を除いては、外出するためにはエレベーターの利用が必要です。しかし、戸数の多いタワマンでは、エレベーターが混雑して、とくに通勤や通学の時間帯には予想以上に時間がかかってしまうことがあります。また、高層階になるほど途中で乗降する住民の数も増えるので、待ち時間が長くなる傾向があります。
住民の数に対して十分な数のエレベーターが設置されているか、事前に確認しておきましょう。
「駅近」を売りにしているタワマンも多くありますが、エレベーターの混雑によって、実際にかかる時間が変わってくる場合もあります。
エレベーターが混雑すると、外出を面倒に感じる方も少なくありません。高層階だとエレベーターを利用する必要があり、1階へ降りるまでに時間がかかるためです。
とくに外出の予定がなくても、ゴミ出しや郵便物の受け取りなど、 生活をしていると家を出る機会は意外と多いものです。また、外出が億劫で家に引きこもりがちになると、運動不足やストレスを招いてしまうおそれもあります。
今の生活と比べて面倒に感じないか、タワマンによっては各フロアにゴミステーションがあったりするので、内覧時に具体的な生活動線を確認しておきましょう。
⑦意外と騒音が気になる
タワマンで問題となる騒音はおもに2種類あります。上階や隣接する部屋から聞こえる生活音と、雑踏音や車の走行音といった周辺地域から発生する音です。最新の建築技術で建てられているタワマンで、上階や隣室の音が聞こえるというのは意外に感じるかもしれません。しかし、実は超高層建築となるタワマンは軽量に作る必要があるため、床や壁をあまり厚くできないのです。たとえば、一般的なマンションの壁は遮音性の高いコンクリートで作られていますが、多くのタワマンの壁は、耐火ボードなどで仕切られています。使用されているボードには吸音性を高める加工が施してあるものの、コンクリートに比べると遮音性は高くありません。
周辺環境の音は、とくに高層階で気になります。地上から離れていて静粛性が高い分、ちょっとした音でも聞こえやすいためです。また、音をさえぎる障害物がないため、一般的なマンションや低層階に比べて遠くの音も聞こえてしまいます。さらに、高い場所では風が強いことが多く、風切り音も騒音の1つです。
タワマン選びで失敗しないためのコツ
マンションの物件選びをする際は、確認すべき重要なポイントがいくつかあります。とくに一般的なマンションとは構造や共用施設が異なるタワマンの場合は、慎重にチェックすることが大切です。
タワマン選びで失敗して後悔しないためにも情報を事前に整理して、1つずつ丁寧に確認していきましょう。物件選びで重要なポイントを4つご紹介します。
遠方でも内覧はなるべくおこなう
タワマンを購入する際は、現在住んでいる場所から遠くてもなるべく内覧に出向きましょう。最新の設備をもつ“タワマン”という安心感から、内覧しないまま物件の購入を決めるケースもありますが、実際にみないとわからないこともたくさんあります。生涯住む、もしくは大切な資産として保有するのであれば、可能な限り事前に確認して、慎重に選ばなければなりません。しかし新築のタワマンは青田売りも多く、実際に見ることができない場合もあります。完成前であれば、周辺環境の確認はもちろんのこと担当者に納得いくまで質問をしましょう。竣工済みであれば眺めや日当たりも大事なチェック項目となります。
具体的には、戸数に対してのエレベーター数や、風の影響度合い、携帯電話の電波など、実際の生活をイメージしながらチェックします。また、中古物件の場合、公開されている写真が新築時のものである可能性もあるので、実物の確認を必ずおこないましょう。
タワマンに限らず、モデルルームの見学で購入を決める人も多くいます。その際には実際に住むイメージを持ちながら見るようにしましょう。
共用施設を精査する
タワマンの魅力の1つである共用施設について、細かく精査することも重要なポイントです。施設の種類やサービス内容などが、求めているものと相違ないかを確認しましょう。また、予約の仕組みや戸数に対しての利用数見込みも、事前に聞いておくことをおすすめします。せっかくの施設も、なかなか予約できなければ使えません。利用数が多くても、連続した予約を禁止しているなど、特定の住民だけに利用がかたよらないよう上限回数を設けるなどの工夫をしているタワマンもあります。
立地条件を徹底的に確認する
毎日の通勤で使う駅やバス停までの距離、学校やスーパーの場所など立地条件の確認は徹底的におこないましょう。また、マンションのエントランスから敷地外までの距離や、エレベーターに乗る時間も含めて検討する必要があります。インターネット上の地図サービスなどでも距離は調べられますが、可能であれば実際に歩いて確認しましょう。交通量や信号など、距離だけではわからない実際の時間を把握できます。
資産価値の落ちにくい物件を選ぶ
万が一タワマンで生活を始めてから後悔してしまっても、資産価値が高ければ、売却や不動産投資として賃貸物件にすることが可能です。タワマンの資産価値は立地条件、実際の建物やブランドで決まってきます。「人気エリア」「駅近など便利な周辺環境」「評判の高いブランドのマンション」といった条件がそろっていれば、資産価値は下がりにくくおすすめです。また、間取りや共用施設などの設備も資産価値に影響します。
タワマンで後悔したくなければ賃貸入居をしてみる方法もある
建物の外観や広告などから想像するイメージと違って、タワマンにはいくつかデメリットもあります。一方で、高層階からの眺望や充実した設備によって、上質で豊かな暮らしができることも事実です。【関連記事】分譲賃貸とはどういう意味? 分譲マンションを賃貸で借りるメリットと注意点
タワマンを購入する際には、後悔しやすいポイントを参考に、タワマンの特徴と家族構成やライフスタイルを照らし合わせて十分に検討しましょう。万が一タワマンでの生活が合わなかった場合に備えて、できるだけ資産価値の高い物件を選ぶことも重要です。
また、どうしても判断がつかない場合は、購入前にタワマンの賃貸物件に住んでみることも方法の1つです。引っ越しの手間はかかりますが、実際に住んでみると内覧だけではわからなかった部分にも気づけます。
小さな買い物ではないタワマン購入で後悔しないために、納得のいくまで検討しましょう。今回ご紹介したポイントを参考に、自分にぴったりのタワマンをぜひ見つけてください。
[注1:]国土交通省平成30年度マンション総合調査 結果 2.管理組合向け調査の結果
https://www.mlit.go.jp/common/001287645.pdf