
日本は地震や台風、大雨といった自然災害が非常に多い国です。ひとたび大きな災害が発生すると、電気やガス、水道などのライフラインが止まり、スーパーやコンビニから物がなくなるなど、私たちの生活は一変してしまいます。
このような「もしも」の事態に備え、自分と大切な家族の命や生活を守るために欠かせないのが、「防災グッズ」の準備です。しかし、「なぜ必要なのか?」「具体的に何を揃えればいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、防災グッズの必要性から、具体的な準備リスト、保管のポイントまでをわかりやすく解説します。この記事を読んで、万が一の災害に備える第一歩を踏み出しましょう。
なぜ防災グッズの準備が必要なのでしょうか?
地震や台風、豪雨など、災害はいつどこで起こるか予測できません。いざという時に自分自身や大切な家族の命を守るためには、日頃からの備えが非常に重要です。行政による支援(公助)や地域での助け合い(共助)も大切ですが、災害発生直後は、まず自分で自分の身を守る「自助」が基本となります。災害はいつ起こるかわからない
日本は、その地理的な特性から、地震や津波、台風、大雨など、さまざまな自然災害が発生しやすい国です。近年では、気候変動の影響による災害の激甚化・頻発化も指摘されており、これまで大きな災害がなかった地域でも油断はできません。災害は、私たちの日常を突然奪います。昨日まで当たり前だったライフライン(電気・ガス・水道)や物流が途絶え、食料や生活必需品が手に入りにくくなる可能性があります。そのような非日常の事態に備え、事前に防災グッズを準備しておくことが、落ち着いて行動するための第一歩となるのです。
「自助」が基本となる災害時の備え
大規模な災害が発生した場合、救助や支援がすぐには届かないことも想定されます。消防や自衛隊などの公的な支援(公助)が行き届くまでには、一般的に72時間(3日間)かかるといわれています。この「災害発生後の72時間」を乗り切るために、各家庭での備え、すなわち「自助」が極めて重要になるのです。防災グッズは、この「自助」の要となるものです。最低限の食料や水、情報を得るためのラジオなどを準備しておくことで、支援が届くまでの間、安全を確保し、生き抜くための可能性を高めることができます。
参考:pub_090504.pdf
防災グッズは「非常用持ち出し袋」と「備蓄品」の2種類

防災グッズと一言でいっても、その目的によって大きく2つの種類に分けられます。それは、災害発生時にすぐに持ち出して避難するための「非常用持ち出し袋」と、避難生活が長引く場合に備える「備蓄品」です。それぞれの役割を理解し、バランスよく準備することが大切です。
災害発生時にすぐに持ち出す「非常用持ち出し袋」(1次避難)
「非常用持ち出し袋」は、災害が発生し、今いる場所から避難所などへ移動する際に、すぐに持ち出すためのものです。いわば「1次避難用」のグッズであり、命を守るための最低限のアイテムを厳選してリュックサックなどに詰めておきます。あまりに重すぎると、迅速な避難の妨げになってしまいます。そのため、内容は本当に必要なものだけに絞り込み、両手が使えるリュックサックにまとめて、玄関や寝室など、いざという時にすぐに手に取れる場所に保管しておくことが重要です。
避難生活に備える「備蓄品」(2次避難)
「備蓄品」は、災害発生後にライフラインが復旧するまでの間や、避難所での生活、あるいは自宅での避難生活(在宅避難)を送るために必要なものです。こちらは「2次避難用」の備えといえます。電気・ガス・水道が止まっても生活できるよう、食料や飲料水、カセットコンロ、簡易トイレなどを準備します。自宅で避難生活を送ることも想定し、最低でも3日分、可能であれば1週間分程度の量を備蓄しておくことが推奨されています。これらは一度に持ち出す必要はないため、押し入れや物置などに分散して保管しておくと良いでしょう。
【チェックリスト】最低限これだけは準備したい防災グッズ一覧
防災グッズの必要性は分かっていても、「具体的に何を揃えればいいの?」と悩む方も多いでしょう。ここでは、非常用持ち出し袋と備蓄品として、最低限これだけは準備しておきたい基本的な防災グッズをリストアップしてご紹介します。
生命を維持するための食料・飲料水
生命の維持に不可欠な食料と飲料水は、「非常用持ち出し袋」と「備蓄品」の両方で準備します。非常用持ち出し袋には、避難しながらでもすぐにエネルギーを補給できる栄養補助食品やゼリー飲料、500mlのペットボトル水などを入れておきましょう。
備蓄品としては、1人1日3リットルを目安に最低3日分(できれば1週間分)の飲料水と、調理不要で食べられるアルファ米や缶詰、レトルト食品などを用意します。普段から食べているものを少し多めに買い置きし、古いものから消費して買い足していく「ローリングストック法」を実践すると、管理がしやすくなります。
衛生環境を保つためのトイレ・衛生用品
災害時、トイレが使えなくなることは健康を脅かす深刻な問題です。衛生環境の悪化は感染症の原因となるため、携帯・簡易トイレは必ず準備しましょう。持ち出し袋に数回分の携帯トイレを、備蓄品として1人1日5回×7日分を目安に簡易トイレを準備しておくと安心です。また、断水に備え、ウェットティッシュや、歯ブラシ・歯磨き粉(口腔ケア用品)、防塵や感染対策に役立つマスクも、持ち出し袋と備蓄品の両方に入れておきましょう。
情報を得るためのラジオ・モバイルバッテリー
災害時には、正確な情報を得ることが生死を分けることもあります。スマートフォンが使えない事態も想定し、携帯ラジオは非常用持ち出し袋に必ず入れてください。乾電池がなくても使える手回し充電式のものが特におすすめです。また、重要な情報収集・連絡手段であるスマートフォンの電源を確保するため、大容量のモバイルバッテリーも必須です。こちらもすぐに持ち出せるよう、充電ケーブルと一緒に準備しておきましょう。
安全に避難するための避難用具
安全に避難し、身を守るための用具も重要です。夜間の停電に備え、懐中電灯は必ず用意しましょう。特に両手が自由に使えるヘッドライトは、避難時や作業時に非常に役立ちます。また、瓦礫の下敷きになるなど、万が一の事態に備えて助けを呼ぶためのホイッスル(笛)や底の厚い靴、頭部を守るヘルメットや防災頭巾も命を守るために不可欠です。
貴重品や常備薬などの生活必需品
災害時には、普段の生活に必要なものもすぐに持ち出せるようにしておく必要があります。これらは基本的に非常用持ち出し袋にまとめておきましょう。停電時に備え、公衆電話でも使えるように小銭を含んだ現金は必須です。持病のある方は、常備薬と、その内容がわかるお薬手帳(コピーやスマホの写真でも可)を必ず入れましょう。その他、身分証明書のコピーや通帳・印鑑など貴重品などもまとめておくと良いでしょう。
参考:首相官邸災害の「備え」チェックリスト
【世帯別】追加で備えておきたい防災グッズ
最低限必要な防災グッズに加えて、ご家庭の状況に合わせたアイテムを準備することで、避難生活の困難を軽減できます。ここでは、特に準備が必要となる世帯別に、追加しておきたい防災グッズをご紹介します。乳幼児がいるご家庭向けの備え
小さな赤ちゃんがいるご家庭では、大人と同じ防災グッズだけでは対応できません。粉ミルクや液体ミルク、哺乳瓶、アレルギーに対応した離乳食、使い慣れたスプーンなどを必ず準備しましょう。また、おむつやおしりふきは多めに用意しておくと安心です。避難所での授乳時に役立つ授乳ケープや、子どものストレスを和らげるおもちゃや絵本なども忘れずに入れておきましょう。ご高齢の方がいるご家庭向けの備え
ご高齢の方がいるご家庭では、健康状態に特に配慮した準備が必要です。常備薬やお薬手帳はもちろんのこと、血圧計や体温計などの健康管理グッズも重要です。食事も、お粥や刻み食といった介護食を用意しましょう。また、入れ歯や補聴器など、普段使っているものと、その洗浄剤や予備の電池も忘れないようにしてください。女性ならではの視点で必要なもの
避難所など、プライバシーの確保が難しい環境では、女性特有のニーズに応えるアイテムが役立ちます。生理用品は多めに準備しておきましょう。また、下着や着替え、防犯ブザーやホイッスルといった防犯グッズも持っておくと安心です。周囲の視線を遮り、着替えや授乳に使える目隠し用のポンチョや大判のストールもあると非常に便利です。ペットと一緒に避難するための備え
大切な家族の一員であるペットとの避難(同行避難)も想定しておく必要があります。避難所によっては、ペットの受け入れルールが異なるため、事前に確認しておくとともに、ペット用の備えも万全にしましょう。最低でも5日分のペットフードと水、常備薬、トイレ用品、おもちゃなどを準備します。また、ペットを落ち着かせるためのケージやキャリーバッグ、迷子になった場合に備えて首輪と迷子札も必須です。参考:『同行避難』するために・・・日ごろからの備えが大切です|ペットの防災|東京都保健医療局
防災グッズを準備する際のポイント
防災グッズは、ただ揃えれば良いというわけではありません。いざという時に、その効果を最大限に発揮できるよう、保管場所や日々の管理方法にも工夫が必要です。ここでは、防災グッズを準備する上で押さえておきたい2つの重要なポイントについて解説します。どこに保管するのが最適か?
防災グッズは、種類によって最適な保管場所が異なります。「非常用持ち出し袋」は、文字通り「すぐに持ち出す」ことが最優先です。そのため、玄関や寝室の枕元、あるいは車の中など、避難時にアクセスしやすい場所に保管しましょう。一方、数日分の食料や水を含む「備蓄品」は、1か所にまとめて置く必要はありません。押し入れやクローゼット、キッチンの床下収納、物置などに分散して保管することで、地震で家屋が倒壊したり、一部が使えなくなったりした場合でも、すべてを失うリスクを減らすことができます。
定期的な見直しと点検を忘れずに
防災グッズは、一度準備したら終わりではありません。食品や飲料水、乾電池には使用期限や消費期限があります。いざ使おうとしたら期限が切れていた、ということのないよう、年に1〜2回は中身を点検する日を決めましょう。「防災の日(9月1日)」などを目安にするのがおすすめです。また、点検の際には、普段食べているレトルト食品や缶詰などを少し多めに買っておき、古いものから消費し、消費した分を買い足す「ローリングストック法」を実践すると、無理なく備蓄を維持できます。同時に、子どもの成長に合わせて衣類やおむつのサイズを見直すなど、家族の状況の変化に応じたアップデートも重要です。
住まいの防災対策でさらに安心を

防災グッズの準備とあわせて、住まいそのものの安全対策を行うことで、災害時の安心はさらに高まります。ここでは、家づくりから今すぐできる対策まで、住まいの防災についてご紹介します。
災害に強い家づくりのポイント
これから家を建てる、あるいは購入を検討している場合は、建物の耐震性能に注目することが重要です。現在の建築基準法で定められた「新耐震基準」を満たしていることはもちろん、より高い性能を持つ「耐震等級」を確認しましょう。地震の揺れを軽減する「制震」や「免震」といった構造を取り入れることも、建物の被害を抑え、家族の安全を守る上で非常に有効です。【関連記事】耐震・免震・制震の違いは?それぞれの特徴やメリットについて|Libook|近鉄不動産株式会社
家具の固定など今すぐできる対策
災害時、室内で危険なのは、大きな家具の転倒です。地震による負傷の原因の多くは、家具の転倒や落下によるものだといわれています。タンスや食器棚、本棚などの背の高い家具は、L字金具や突っ張り棒を使って壁や天井にしっかりと固定しましょう。また、ガラスの飛散を防ぐために窓ガラスに飛散防止フィルムを貼る、寝室には背の高い家具を置かないといった対策も、今すぐできる有効な防災対策です。近鉄不動産の耐震診断で住まいの安全を確認
「今住んでいる家の耐震性が心配」という方もいらっしゃるでしょう。特に、1981年に導入された新耐震基準よりも前に建てられた住宅にお住まいの場合は、一度、専門家による耐震診断を受けることを強くおすすめします。専門家が建物の状態を詳しく調査することで、住まいの弱点や必要な補強箇所が明確になります。近鉄不動産では、経験豊富な専門家による耐震診断サービスを提供しており、現在の住まいの安全性を確認し、適切なアドバイスを受けることが可能です。大切なご家族と資産を守るためにも、まずは住まいの現状を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。
詳しくは、近鉄不動産の耐震診断サービスのページでご確認ください。
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