マンションは戸建に比べて高層階であることや入り口でのセキュリティの高さから、空き巣のリスクは少ないと考えている方は多いのではないでしょうか。
しかしマンションであっても、集合住宅特有のセキュリティリスクがあるため、適切な対策を取る必要があります。そこでこの記事では、マンションの空き巣対策について紹介します。空き巣に狙われるマンションの特徴がわかる内容になっています。ぜひ参考にしてください。
戸建だけでなくマンションも空き巣対策が必要
「令和3年(2021)の刑法犯に関する統計資料」[注1]によれば、空き巣被害の約3割は共同住宅です。2021年には年間で3,767件もの空き巣被害が共同住宅で発生しています。
マンションは侵入経路が少なくオートロック付きの物件も多いため、戸建に比べて空き巣の被害に合うリスクは低いと言えます。
しかし、マンションはセキュリティが高いという安心感から、戸締まりなど基本的な空き巣対策がおろそかになりがちです。また高層階であっても様々な侵入経路があるため、空き巣対策は欠かせません。
[注1]https://www.npa.go.jp/toukei/seianki/R03/r3keihouhantoukeisiryou.pdf P32「侵入窃盗」参照
マンションの空き巣対策6選
空き巣対策は大掛かりな設備投資をしなくても、すぐに実践できる方法が数多くあります。ここではマンションの空き巣対策を6つ紹介します。
①高層階であっても施錠を徹底する
基本的な対策としてマンションの高層階であっても、窓やドアの施錠を徹底することが大切です。
空き巣は、3階以上の部屋であっても、屋上からやバルコニー伝いなどの方法で侵入する可能性があります。
施錠されてない窓やドアからの侵入は、空き巣の手口で最も多い手口です。「自分の部屋は最上階だから大丈夫だろう」と油断せずに戸締りを徹底しましょう。
②玄関ドアや窓に補助錠をつける
玄関のドアや窓に補助錠を付けると侵入に時間がかかるため、空き巣に入られるリスクが減らせます。玄関ドアに付ける補助錠は特別な工事不要で取付可能です。リモコン式やダイヤル式などキーが不要なタイプが多く、セキュリティ性能が高いことが特徴です。
補助錠は3千〜3万円程度まで幅広い製品が販売されています。
ただし、補助鍵の取り付けはマンションの管理組合の許可が必要な場合があるので、事前に使用規則等を確認してください。
③合鍵を外に隠さない
鍵を忘れた緊急時のために、合鍵を部屋の外に隠している方は多いのではないでしょうか。合鍵をダイヤル式のロックがない郵便ポストなどのドアの外に隠すことは、空き巣に見つかるリスクがあるため避けた方が良いでしょう。
④窓に防犯フィルムを貼る
窓からの侵入を防止する方法としては、防犯フィルムの活用が効果的です。
防犯フィルムを窓に貼ると、強度が増して簡単には割られにくくなります。防犯フィルムは警察庁が認定した「CPマーク」対応の製品がおすすめです。
「CPマーク」対応の防犯フィルムは、資格を持った者が施工する必要がありますが、ホームセンターや100円ショップなどで販売されている製品とは強度が大きく違います。
⑤防犯ベルを設置する
窓への防犯ベルを設置することで、空き巣が侵入を断念する可能性があります。
犯行が行われたことが周囲に知れ渡るため、空き巣にとっては侵入のリスクが高くなるためです。
⑥ポストに郵便物を溜めない
ポストに郵便物を溜めていると、空き巣に長期間留守にしている部屋だと認識されてしまいます。
空き巣は留守にしている時間を事前に調べて侵入します。郵便物が溜まっている部屋は、空き巣のターゲットになりやすいため注意が必要です。郵便物を受け取れない場合には「近隣の人に預かってもらう」、長期間留守にする際は「実家に転送する」などの対応をとると良いでしょう。
マンションの空き巣被害が多い曜日と時間
警察庁の統計資料「令和3年の犯罪」[注2]によると、空き巣被害が多い日は平日です。以下の図は、曜日別の被害発生割合を示したグラフです。
曜日別の被害発生割合をみると平日が約14〜15%に対して、土日は約11〜12%と少し下がり、平日の中では月曜日と金曜日が15.7%程度と多い傾向にあります。
時間帯別では、0〜2時と2〜4時がいずれも約16%と最も被害が多く発生しています。時間帯別の被害発生割合は、以下のグラフを確認してみてください。
他の時間帯は約4〜8%と大きな違いはありません。曜日と時間帯の空き巣被害率を見ると、平日の深夜時間帯が最も警戒が必要であることがわかります。
[注2]https://www.npa.go.jp/toukei/soubunkan/R03/R03hanzaitoukei.htm
空き巣に狙われるリスクが高いマンションの5つの特徴
適切な空き巣対策をするには、自身の住んでいるマンションのリスクを理解しておくことが大切です。ここでは空き巣に狙われるリスクが高いマンションの特徴を紹介します。
①犯行が気づかれにくい立地にある
周辺道路の人通りが少なく薄暗い道に面しているマンションは、空き巣に狙われやすいと言えます。人通りが少ない場所では、他者から犯行を目撃されるリスクが少ないためです。
逆に繁華街に立地している場合も注意が必要です。人通りが多い場所では、空き巣が雑踏に隠れて発見されにくい場合があります。また線路沿いのマンションも、電車の音で窓ガラスを割った音がかき消されるため、犯行が気づかれにくい立地と言えます。
②公園に隣接している
空き巣は犯行前に侵入しやすい部屋を見つけるためや、留守時間の確認のために下見をします。公園に隣接しているマンションは、空き巣が下見をしやすいため注意が必要です。
公園は人通りが多いため防犯効果が高いと考えられますが、公園は路上などに比べて長時間滞在していても違和感がないため、空き巣にとって都合の良い下見スポットになります。
③出来て間もないマンション
出来て間もないマンションは住民のコミュニティが形成されていないため、空き巣が侵入しても住民に気づかれにくいリスクがあります。
マンションは廊下やエレベーターなどで住民同士が顔を合わせやすい構造であるため、長く住んでいればお互いのことを認識しやすくなります。しかし住民同士の顔がまだわからない出来て間もないマンションでは、部外者が出入りしても気づかれにくいため注意が必要です。
④単身者向けである
単身者向けのワンルームマンションは日中の間、学校や仕事で留守になる部屋が多いため、空き巣に狙われやすくなります。
また単身者が多いマンションは入退去の頻度が多く、住民同士の関係が希薄になりがちです。空き巣などの部外者が侵入しても、普段から住民同士で顔を合わせていなければ気づかれない恐れがあります。
⑤外から玄関や階段が見える
マンションの外から玄関や階段が見えるマンションは、空き巣に侵入されるリスクが高くなります。住民が外出したことを、空き巣が確認しやすいためです。
また外階段は、空き巣の侵入経路としても活用される可能性もあります。外階段からマンションの中に入るドアが施錠されていたとしても、バルコニーに飛び移る足場として使われることもあります。
【部屋の階別】マンションの空き巣に侵入されるリスク
マンションは高層階であっても、空き巣に侵入されるリスクがあります。自身の住んでいる階では、どのようなリスクがあるのか理解しておきましょう。
1階の部屋のリスク
1階は最も空き巣が侵入しやすい部屋です。マンションの塀を越えるだけで部屋の窓にたどり着くため、空き巣が容易に侵入しやすい環境が整っています。
また塀が低いなど目隠しが十分でないマンションでは、外から室内を容易に確認できる点でもリスクが高いと言えます。逆に塀や植栽で目隠しがされている場合は、外から犯行が見えにくくなる欠点があります。1階は特に空き巣が侵入しやすい条件が揃っているため、最も注意が必要です。
2階の部屋のリスク
2階の部屋は1階に比べれば空き巣に侵入されるリスクは低くなりますが、油断はできません。2階であれば空き巣は塀などを足場にしてバルコニーに登ることが可能です。
また建物が密集している場所では、隣のマンションの外階段などからバルコニーに飛び移って侵入できてしまいます。2階は高層階に比べて、容易に登って侵入されるリスクがあると認識しておきましょう。
3階以上・最上階の部屋のリスク
3階以上の部屋は地上から塀などを足場にして侵入される可能性は低いです。しかし、玄関ドアを開けられるリスクは、低階層の部屋と変わりません。
また最上階の部屋は、屋上からロープでバルコニーに降りて侵入されるリスクがあります。特に「マンションの入り口がオートロックではない」「屋上に上がるドアが施錠されていない」などのマンションは、空き巣が屋上に出入りできてしまうため危険です。
マンションに空き巣が入る3つの前兆
空き巣に狙われている前兆は、3つのポイントから気づけます。対策を考える上で、空き巣が入る前兆についての知識を身に付けておきましょう。
①ポストやインターホン付近に不審な落書きがある
ポストやインターホン付近に「S」や「W」などの不審な落書きがある場合は、空き巣に下見をされている可能性があります。
不審な落書きは空き巣が住民の特徴を覚えておくために付ける印で、マーキングと呼ばれます。例えば「S」は一人暮らしを表しており「W」は女性であることのメモです。
マーキングは空き巣だけでなく、訪問営業の担当者が付けている場合もあります。訪問営業の担当者が付けたマーキングであっても、空き巣に利用されるリスクがあります。「不審な落書きがないか」日頃からチェックすると良いでしょう。
②見知らぬ人がインターホンを鳴らした形跡がある
空き巣は盗みに入る前に、インターホンを鳴らして住人の留守時間を確認する場合があります。自身が在宅の時に「インターホンに出たときに誰もいない」などの不審なケースがあった場合には注意が必要です。
また留守時であっても、録画機能が付いたインターホンを利用していれば不審者が訪れたか確認できます。鳴らした人の姿を後から確認できるため、録画機能付きのインターホンは防犯効果が高いです。
③外から観察している人物を度々見かける
マンション周辺で不審な人物を度々見かけるようになったら注意が必要です。空き巣は盗みに入る前に、マンションの侵入経路や留守時間を確認するために下見をします。
長時間同じ場所を観察している、メモをとっている等の行為をしている人がいる場合は注意が必要です。不審者を見かけたときは、マンションの管理人や警察に通報すると良いでしょう。
防犯性の高いマンションであっても空き巣対策を徹底しましょう
マンションは戸建てに比べて入り口のセキュリティも高く、高層であるため空き巣に侵入されるリスクが低いと考えられることが多いです。しかし高層であっても空き巣は様々な方法で、バルコニーなどから侵入します。
窓の施錠はもちろん補助錠や防犯フィルムを設置するなどの対策が有効です。マンションに空き巣が入るリスクを正しく理解し、適切な対策を徹底しましょう。