Art
暮らしにアートを取り入れる。なんだかちょっと手強そうですが、新鮮でワクワクしてくるアイデアでもあります。日常的にアートに触れることは、感性が育まれたり、コミュニケーションが生まれたり、自分自身がポジティブになれたりと、さまざまな魅力があるのだそう。
キーワードは「楽しく飾る」。むずかしく考える必要は一切ありません。アートのある暮らしへの第一歩、気軽に踏み出してみませんか?
©RA-CREA
アートは敷居が高いというイメージが先行し、はじめの一歩を踏み出せない人がまだまだ多いです。けれども暮らしに取り入れると世界がぐっと広がり、今までとは異なる視点が育まれます。
今回アートを身近にし、楽しみ方をサポートする「アートのある暮らし協会」のアートライフスタイリストのおふたりにお話を伺いました。
RA-CREA 中西八枝佳さん(左)、
有限会社悠インテリア事務所 松浦千代美さん(右)
①自分へのおもてなし
自宅にアートを取り入れるという行為は、ほかでもない自分へのとっておきのおもてなし。「好きなアートを飾ることで、自分自身を大切に思っているというメッセージに。自分を慈しみながら暮らすことは、心の豊かさにつながると感じます」(中西さん)
②世界が広がる
「作品が好きになると、そこにどんなことが描かれているのか知りたくなりますし、アーティスト自身にも興味が出ます。影響を受けた作家は誰だろうと深掘りするのも楽しいものです」(松浦さん)。ひとつの作品から世界がどんどん広がっていく感覚は、得難いものです。
③モチベーションが上がる
好きだと感じるものを飾ることで、この空間はキレイにしておこう、という意識が働くもの。だからこそ「生活の質が上がり、自分のモチベーションアップにもつながると思います。アートは自分の生活を見直すきっかけにもなるんですよ」(松浦さん)
④子どもの感性も育まれる
小さなお子様が日常的にアートを目にすることで、違った角度から物を見る感性が育まれることも。「うちの子は、日頃よく見ていた抽象的なアートからイメージし、学校の授業で美しい切り絵の作品を作りあげていました。アートのある環境の影響力におどろきました」(中西さん)
アートによる暮らしの底上げは理解できたけれど、では一体どんなアートを選べばいいのでしょう。「そこが分からなくて、二の足を踏んじゃう人は実際かなり多いんです」(松浦さん)とのことで、分からないから踏み出せない、という人も多いよう。そこで、アートを暮らしに取り入れる第一関門「アートを選ぶ基準」について、簡単なコツを2つアドバイスをいただきました。
音楽を聴くときを思い出してみる
お気に入りの音楽を聴くと、モチベーションが上がったり力が湧いてきたりするものです。アートもそんなツールのひとつ。見ると元気になれるものなど、音楽を聴くときと同じ感覚で気軽にアートを取り入れてみましょう。
自分の感性になかったものを選ぶ
自分のライフスタイルの中では出会わなかったアートを手に入れると、新たな発見やおどろきがあり、世界がぐんと広がるのだそう。自分の好きな色や形だけではなく、少し違和感を覚えるものを選んでみるのもよさそうです。
ここではアートを飾るときに役立つアイデアを5つご紹介。飾り方のアイデアを知れば、部屋やインテリアとの調和がとれ、より一層すてきに決まります。
アイデア① コーナーやトイレは飾りやすい
アートを飾りたい場所としてまず思い浮かぶのが、家の顔となる玄関やリビング。けれどもこれらの場所は知らず知らずのうちに人の目を気にして気負ってしまうため、飾りにくい場所といわれています。まずはコーナースペースやトイレなど、小さな空間に飾ってみるのがおすすめ。ごちゃつきにくく、小さな作品でもサマになりやすいです。
アイデア② 海外風に床置きしてみる
絵を飾る際に壁に穴を開けるのが気になる方は、床置きを試してみてはいかがでしょうか。海外風の、おしゃれで少し大胆なスタイルが演出できます。
掃除の時間はよけておくなど、配慮しながら飾ってみてください。
アイデア③ 壁一面に飾ると動きが出て魅力的に
この飾り方も海外ではよく見られるスタイル。壁一面を使って、大小さまざまな絵を好きに飾ってみましょう。フレームの種類や絵の大きさなどはあえて統一せず、バラバラな雰囲気だと動きが出てすてきです。絵だけでなく、ポスターや写真、ポエム、ポストカードなどを飾ってもよいでしょう。
アイデア④ フレームをたくさん飾ってみる
オーダーフレームやアンティーク、手頃な既製品など、さまざまなフレームを置いてみるのもひとつの手。肝心のアートがまだないという方は、フレームを立てかけて植物やキャンドルを置けば、トリックアートのような雰囲気に。気張りすぎず、飾ること自体を楽しみましょう。
アイデア⑤ 大きな作品を大胆に飾る
アート作品は、インテリアとしてはもちろん、家主の感性も表現してくれるもの。大きな作品が見つかったら、壁に大胆に飾ってみてください。快活な雰囲気が演出できてとても魅力的であり、来客時には家主のセンスも伝わりやすく、会話が弾みます。
■作品をおじぎさせない
額に紐をつけ壁にかけると、どうしても前に倒れたような傾斜がついてしまいます。額の下部に発泡スチロールなどをかませることで、壁とは水平に、床とは垂直になってより一層スタイリッシュです。
■間接照明で雰囲気づくり
アートと間接照明を組み合わせるとこなれた雰囲気になり、おもてなし空間の演出にぴったり。このとき、照明のライトは日焼けしやすい白熱灯ではなく、LEDを使うとよいでしょう。
■フレームやマットを変えてみる
もともと、フレームとマット付きで販売される作品が多いですが、好みのものに変えて問題なし。アンティークのフレームや色付きのマットにすれば、雰囲気ががらりと変わって楽しいです。
2つめ以降のアートは、より洗練された雰囲気を楽しんだり異なる視点からの作品選びをしたりと、さらに遊び心をプラスしたいものです。来客時のおもてなしとしてもぴったりな、洗練アイデアをご紹介します。
アイデア① コンセプトを反映させて飾る
まずは、作品のコンセプトや背景を汲み取ってみましょう。そして壁にコンセプトを反映させ、アートや雑貨をスタイリングすると空間に深みが生まれます。クリスマスやお正月など、行事や季節をテーマにするのもよいでしょう。
アイデア② 住空間をアートでセパレート
リビングダイニングなど多目的な空間がひとつなぎになっているお部屋の場合、例えばリビングスペースとダイニングスペースで飾るアートの種類を分けることで、住空間がセパレートできメリハリがつきます。
アイデア③ フォーカルポイントを意識する
フォーカルポイントとは、目を引く点のこと。ドアを開けた瞬間に見える壁や、ソファに座って自然と目がいく場所にアートを飾ると、暮らしとアートがほどよく結びつき“アートのある暮らし”がより実感できます。
アートの飾り方にはルールはなく、基本的にはどんな作品をどうスタイリングしてもOK。「天井に飾っても床に置いても、“アートを活かす”ことができればなんの問題もありません。遊び心を忘れずに楽しんでみてください」と実に軽やかです。今回ご紹介した方法も、ルールではなくアイデアのひとつとして取り入れ、自由な発想でアートのある暮らしを楽しんでみてはいかがでしょうか。
アートのある暮らし協会
もっと多くの人にアートのある暮らしを気軽に楽しんでほしい!という想いで、アートにまつわる不安や疑問を解消し、ライフスタイルやビジネスに“アートの力”を活用することを推進しています。全国のアートライフスタイリストがあなたの“アートのある暮らし”をサポートします。