Furoshiki
風呂敷と聞いて何を思い浮かべるでしょう。お中元やお歳暮を包むもの? よっこらせと、大きな荷物を担いで持ち運ぶためのもの? もちろんそのような用途もありますが、これらは風呂敷活用のほんの一部。じつは使い方によって、暮らしの中で大活躍してくれる万能アイテムなのです。
今回はそんな風呂敷にスポットをあて、上手な活用方法をたっぷりご紹介。目からウロコの楽しさが満載です!
日本には“包む”という文化が色濃く根付いています。「大切なものを持ち運ぶ際に包む」「手土産を包む」「外装を隠すために包む」など、昔からさまざまなものが包まれてきました。
そんな包むための布が「風呂敷」です。1枚の布であり道具でもある風呂敷は、かさばらずにどこにでも持ち歩けるのが魅力。バッグの中に1枚すっと入れておくだけで、あらゆるシーンで活躍するのです。
暮らしの中でカジュアルに使えるほか、祝儀を包んだり慶弔時に使用したりと改まった席でも風呂敷は欠かせません。慶事には華やかな朱色や明るい色を選ぶ、忌事の際には深みのある落ち着いた色を選ぶなど、相手への心遣いを意識したいものです。
物を包むための布は、日本では1300年以上前から使われているとされています。歴史ある風呂敷の世界を少し覗いてみましょう。
布で包むという行為は、日本だけでなく海外でも見られる文化でした。けれども、布の豊かなバリエーションや包み方に作法が付随するなど、独自の発展を遂げているのは日本だけです。
現代においても日本文化で育った人にとって“大切なものを包む”という行為は一般的。お弁当包みは、まさにそんな文化の代表格です。
かつての風呂とは、湯船に浸かって疲れを癒すものではなく、蒸気による発汗を促す“蒸し風呂”が一般的でした。その際、蒸気を室内に均等に行き渡らせるため使われた布を“風呂敷”と呼ぶようになったのだそう。湯船に浸かるようになってからも、自分の持ち物と他人の持ち物が混ざり合わないよう持ち物を包んだり、入浴後に足をぬぐったりして風呂敷が使われてきたようです。
ショッピングバッグや紙袋の登場によって一時は下火になっていた風呂敷文化ですが、ここ最近、注目度がぐんとアップしています。
世界規模でエコが重要視されている現代。日本でも2020年7月以降、スーパーやコンビニ等でのレジ袋有料化がスタートする見込みです。何度も繰り返し使える風呂敷は、エコの観点からもとっても優秀です。
若い世代が日本文化の良さに改めて気付き始め、多用途で使える風呂敷も人気に。大学などでも風呂敷のワークショップが行われ、多くの学生が参加しています。
老舗の風呂敷メーカーが手がけるアンテナショップ「むす美」。東京・原宿と京都・三条通に店を構え、風呂敷の販売をはじめ使い方のワークショップなども開催しています。さまざまに変化する風呂敷の奥深さに「こんな便利なものがあったんだ!」と驚くことしきり。見た目もすてきな風呂敷の世界に、ぜひ触れてみましょう。
風呂敷の最もスタンダードな使い方。包むことで固定でき、複数個の物を安定して持ち運ぶのに重宝します。会社の上司やお世話になった人など少し改まった場へ手土産を持って行く際には、風呂敷で包んでお持ちすると丁寧な印象です。
何やら難しそうに思えますが、じつはとっても簡単。結び方さえ覚えたら、小さなお子様だってすぐに作れます。
海外旅行で荷物が増えてしまったときや外出先でお土産をいただいたときなど、さっと取り出して風呂敷バッグが作れたらとってもスマート。使わないときにはハンカチのように畳んでおけるのもうれしいです。
紙袋にボトルを入れて持ち運ぶと、袋の中でバランスが取りにくかったりボトル同士がカンカン音を立てたりと、気になることが多いものです。そんなときには風呂敷の出番。包めば曲線にもスムーズに沿い、きちんと固定されて運びやすさも格段アップです。風呂敷包みのボトルを持つ姿も粋ですね。
ギフトのラッピングを風呂敷にし、その風呂敷ごとプレゼントするのもすてきです。プレゼントがひとつ増えたようなうれしさがあるのはもちろん、「どうやって包むの?」と新たなコミュニケーションも生まれるはず。ぜひ、バッグやリュックをその場でささっと作ってあげましょう。
ティッシュケースなど、パッケージが気になるアイテムは風呂敷で包んでカバー。布なのでいろんな形にフィットし、キレイに包み込めます。
ほかにもブックカバーを作ったり、バッグに風呂敷カバーを施して気分を変えたりと、アイデア次第でいろんな物のカバーに使えます。
風呂敷を数ヵ所結ぶだけで、トートバッグが作れたりボトルが包めたりします。気負う必要は一切なし! 誰でも簡単にできる結び方をふたつ、ご紹介します。
風呂敷が簡単にトートバッグに大変身。模様によって雰囲気もガラッと変わるので、ちょっとしたお買い物などのお出かけはもちろん、浴衣などの和装にもぴったりです。
①裏面を上にして広げ、手前の両端を持ちます。
②深めに1回結びます。
③その先端で真結びをします。(真結びは下記参照)
④奥側の両端を持ちます。 2、3と同じように結びます。
⑤2つの輪っかを持てばトートバッグになります。
真結びの方法
①一回結びます。
②奥にある先端部分を手前にかぶせ、輪に通します。
③左右に引っ張ると出来上がり。
日本酒やワインなどの瓶を手土産に持っていくときにぜひ活用してもらいたい結び方がこちら。持ち運びにも便利&風呂敷をほどいてもらうときのワクワク感もあってとても喜ばれるはずです。
①瓶を風呂敷の中央に置きます。
※ワインボトルなら二巾(68~70㎝)、一升瓶なら二四巾(90㎝)がおすすめ
②手前の端と奥の端を持ち、瓶の口元できゅっと真結びします。
③左右の端を持ち上げ、瓶に沿わせながら後ろ側に回します。
④後ろで交差させて手を持ち替え、瓶の前に持ってきて真結びをします。
⑤真結びをキレイに整えます。
⑥瓶の口元で行った真結びの結び目をひとつほどき、くるくるとねじります。
⑦ねじった両端で真結びをします。輪っかが持ち手になり、持ち運びにも便利です。
東海道五十三次に登場する宿場を、猫に関するダジャレに置き換えた戯画をプリント。個性的な猫の姿が微笑ましく、見ているだけで和みます。伸縮性のあるちりめん生地で、ボトルなどの立体物も包みやすいです。(2,200円)サイズ約68cm
型染アーティスト「kata kata(カタカタ)」とのコラボ風呂敷。大胆にプリントされたクマとサケが印象的で、広げてソファなどに掛けてもおしゃれです。撥水加工が施され、テーブルクロスや雨が降ったときのバッグカバーにも。(3,850円)サイズ約100cm
折り紙アーティスト「こちゃえ」とのコラボ風呂敷。角に獅子舞と泥棒の顔がプリントされ、どちらかを手前にお弁当箱などを包めば獅子舞・泥棒がファニーに浮かび上がります。遊び心満載でプレゼントにも喜ばれそう。(880円)サイズ約48cm
撥水加工を施した風呂敷は災害時にもお役立ち。災害時に便利な12種類の使い方を模様にしています。被災時に見つけやすいよう、カラーもオレンジの蛍光色に。両端を結んで持ち手を作れば、最大10Lの水も運べます。(3,850円)サイズ約100cm
京都の風呂敷メーカー、山田繊維株式会社が運営するオフィシャルショップ。風呂敷専門店として、販売はもちろん、風呂敷の使い方の情報発信も行います。人気ファッションブランド「ミナペルホネン」をはじめ、さまざまなアーティストとのコラボも実施し、幅広い層から支持されるお店です。
京都市中京区三条通堺町東入桝屋町67
Tel. 075-212-7222
[時]11:00~19:00
[休]年中無休 (夏季・年末年始は特別休業)