真夏に愉しむ、クラフトビール入門。
真夏に愉しむ、
クラフトビール入門。
作り手がこだわりをもって醸す
「クラフトビール」は、注ぐ楽しみ、
味わう愉しみにあふれている。
真夏の昼下がりにちょっと贅沢な時間を。
魅力あふれるビールの世界へ、ようこそ。
Craftbeer Guide
「乾杯!」を繰り返しながら、飲み手自身がその美味しさを伝えていったクラフトビール。家族や仲間とカジュアルにワイワイと飲めるのが人気の秘けつだ。コポコポ、シュワ…。小麦色のビールが注がれる。口に運ぶと、豊かなアロマとフレーバー。クラフトビールには、じっくり味わいたくなる不思議な魅力がある。ブルワリーと呼ばれる小さな醸造所が、原料と技法にこだわって醸し、主張のあるテイストには作り手の情熱すら感じる。19世紀、黄金色の「ピルスナー」が生まれ、それがビールのスタンダードとなる一方、自家醸造の手作りビールが静かな人気者に。やがてクラフトビールとして世界のムーブメントとなった。古典的な製法から、世界の技法を融合した製法まで、自由な発想で作られたビールはどれも個性的。グラスを傾けるたび「どう、美味しいでしょ?」と語りかけてくる。
<取材協力>
クラフトビール(地ビール)専門ショップ
「クラフトビアーズ」 代表 築城忠生さん
<撮影>
ローレルスクエア守口 棟内モデルルーム
Craftbeer Guide
多種多様なクラフトビールの中でも、最近はIPA(インディア・ペールエール)がトレンドに。18世紀末、イギリスからインドへ輸送するのに劣化を防ぐため、大量のホップを入れて苦味を強くしたといわれるIPAは、その濃厚な味わいが人気を博している。とはいえ、ビールごとに味の表情が違うのだから、好みだって千差万別でかまわない。このビールから飲むべし、という決まりごとは一切なし。フィーリングに合う1本から、気軽にどうぞ。今回は、クラフトビールを知り尽くした「クラフトビアーズ」の築城さんがチョイスした6品をご紹介。また、クラフトビールはレシピをもとに種類を見分け、細分化するとその数は100種類にも。そのうち、8つのビアスタイルを知っておくと、より深く楽しめる。
飲みやすくて夏にぴったり
ノースアイランドビール・
ピルスナー
[SOCブルーイング]
繊細なホップの香りとモルトの甘みのバランスがちょうど良い。さわやかでライトな口当たりのあと、やわらかなコクとほろ苦さがちょっぴり顔を出す。透き通った黄金色が目を楽しませてくれる。
常陸野ネスト・ラガー
[木内酒造]
グラスに注ぐと広がる、花畑のようなフルーティーアロマ。飲み干すまで華やかな香りを楽しめる。苦すぎないので、ビール初心者や女性にもぴったり。こんがり焼けた小麦肌の色合いにも魅了される。
味わい濃厚な人気のIPA
志賀高原ビール・志賀高原IPA
[玉村本店]
志賀高原のふもとで醸される、インディア・ペールエール。芳醇なモルトの香味とともに、適度な苦みが心地よくのどを通り抜けていく。その琥珀色とともに、時間をかけて楽しみたくなる一品。
箕面ビール・ダブルIPA
[箕面ブリュワリー]
インディア・ペールエールに、さらにモルトとホップを加えたビターな味わい。深みのあるコクも特徴で、麦芽のうまみと甘みが二重奏となって広がっていく。ややダークな色合いで、9%のハイアルコールが大人っぽい時間を演出してくれる。
香り華やぐフルーティー系
サンクトガーレン
湘南ゴールド
[サンクトガーレン]
神奈川県で栽培される幻のみかん「湘南ゴールド」の果汁が、ビールのさわやかさを引き立てる。風味は柑橘系だが、口に含むとホップの苦みがふわり。フルーツビールながら、本格ビール派をも喜ばせる味わいがある。
南信州ビール
アップルホップ
[駒ヶ岳醸造所]
南信州で栽培されたリンゴのジュースをたっぷりと入れたフルーツビール。軽快な口当たりと優しいテイストのあと、はっとするようなキレの良さを発揮。口の中をすっきりとさせてくれる。薄にごりの黄金色がきれい。
深く楽しむために知っておきたい
8つのビアスタイル
●ピルスナー
ホップの香りと苦みを楽しめるさわやかなビール。のど越しがさわやかで飲みやすく、ほんのりと麦芽の香味が漂う。色は麦わらを思わせる明るい黄金色。
●ベルジャンホワイト
注いだときの白濁感が独特。コリアンダーやオレンジピールを使っているため、香りはさわやかでスパイシー。味わいはクリーミーで、ほのかな甘酸っぱさも。
●インディアペールエール(IPA)
ペールエールより大量のホップを使用しているため、さらにパンチのある苦味が特徴。アルコール度もやや高めで、味わいにもインパクトがある。
●ポーター
もともとは3種類のビールをブレンドして誕生したもの。しっかりとしたボディと香ばしさがある。芳醇タイプのほか、ややライトなタイプも。
●ヴァイツェン
ヴァイツェン酵母で発酵させるドイツの小麦ビール。豊かなアロマが最大の特徴で、バナナのような香りをまとったものが多い。苦みは少なめ。
●ペールエール
イギリスの伝統的なビール。400年前に考案されたといわれており、ホップのほろ苦さが際立つ。麦芽のうまみと立ちのぼるアロマもバランス良く調和。
●ブラウンエール
モルトの味わいが強く、苦味は抑えめ。麦芽をローストしたときの風味が、キャラメルのようにもチョコレートのようにも感じられる。
●スタウト
いわゆる黒ビール。アイルランドで誕生したスタイルで、焦がしたような麦の香味が強い。濃厚なテイストでありながら、後味はドライ。
Craftbeer Guide
クラフトビールの醍醐味は「味わい」と「香り」。それを最大限に引き出すコツが「温度」と「注ぎ方」だ。色が淡いビールは6〜7℃、茶褐色は10℃、濃いビールは13〜14℃が目安。冷蔵保管が基本だが、飲む前に温度をならすことで「味わい」と「香り」がしっかり愉しめる。また、グラスはきれいに洗っておくと、泡立ちがよく美味しく味わえる。グラスを冷やすなら冷蔵庫ではなく氷を入れるのがおすすめ。霜がつかないので、泡立ちを損ねることがない。注ぎ方は、さわやかに飲みたいときは、炭酸ガスを抜くために少し高い位置からジャボジャボ注いで。独特の風味や味を大切にするなら、グラスにそって静かに注ぎ、泡を立てないのがベター。グラスいっぱいまで注がず、香りがとどまる余白をグラスの最上部に残すと、よりアロマを感じることができる。グラスを選ぶ際は、ビールの特性に合わせてチョイスすればアロマやフレーバーの特徴を引き立ててくれる。
<淡色系のビールに>
細長いトール型のグラスは、繊細なホップの香りをもつ淡色系のピルスナーにぴったり。泡の上にあるほのかなアロマを立ちのぼらせ、鼻先まで届けてくれる。スリムな形状が黄金色をきれいに表現するのも魅力。
<人気のIPAにあわせて >
香りと苦みにインパクトのあるIPAは、飲み口がきゅっと締まり、ホップのアロマをキャッチしやすいこのタイプがおすすめ。グラス下部の凹凸は、飲む度に泡立たせることで華やかな香りを保つために考えられた形状だ。
<濃色系のビールに>
胴体がぽってりと膨らんだグラスは、濃厚な味わいをさらに深みのあるものに。グラスにいっぱい注がず、半分くらいに留めた状態で口に運ぶのが、風味とコクを楽しむコツだ。この形状はオールマイティに使える。
<photo>グラスはすべてドイツの名門グラスウェアブランド「シュピゲラウ」の製品。約500年の歴史が培った伝統技と最新技術を融合し、世界の五つ星ホテルやレストランで採用される高品質なグラスを生み出している。耐衝撃性と耐久性に優れながら、軽くて使いやすいため、普段使いにも最適。左から「ビールクラシックス ピルスナー」3,240円(2個入)、「クラフトビールグラス インディア・ペール・エール」3,780円(2個入)、「ビールクラシックス ビール・チューリップ」3,240円(2個入)。
Craftbeer Guide
単体で飲んでも、料理と合わせても楽しいクラフトビール。味のマッチングに悩んだら、シンプルに「色」を基準に合わせてみて。例えば、淡色のビールなら料理も淡い色合いの白身魚やカルパッチョなどさっぱり系と合わせたり、茶褐色のビールならグリルやフリッターといった揚げ物との組み合わせがおすすめ。ポーターやスタウトなど濃色のビールならダークソースのかかったローストビーフなど、肉料理とともに。「マリアージュ」と聞くと、少し難しそうにも感じるが、気分やフィーリングで手軽に楽しんでみてはいかが。
SHOP DATA
クラフトビアーズ
神奈川県伊勢原市にある酒類専門店が運営し、約150種類のクラフトビールを扱う専門ショップ。テイスティングで味を確かめたものだけを厳選して取りそろえ、オンラインショップで購入できる。ブルワリーに足を運んで生産者と語り合ったり、ビールイベントを開催したりと、クラフトビールの文化を広く伝える活動も行っている。
神奈川県伊勢原市板戸391
Tel. 0120-11-0556
[営業時間] 8:30~20:00
[定休日]木曜(正月・夏期休業有り)