エスカルゴ[PATISSERIE LACROIX]
エスカルゴ[PATISSERIE LACROIX]
今回の逸品は、兵庫県伊丹市にある「PATISSERIE LACROIX(パティスリー ラクロワ)」の「エスカルゴ」。大阪のフランス菓子の名店「なかたに亭」を経て、フランス、東京、名古屋で研鑽を積んだ、オーナーパティシエの山川大介さんが手がけています。山川さんいわく、これはフランスの最高級バター「イズニー」が主役のお菓子。「本来はパイなどの折り込み用バターとして使われていますが、まろやかでコクがあり、バター臭が強くないので、バタークリームに使いたいと思ったのです」と話します。バタークリームはイタリアンメレンゲベースで、塩を加えているので、濃厚なのに切れのある味わいです。このバタークリームが際立つよう薄めに焼き上げた生地には、アーモンドプードルと甘めの果実酒をプラス。しっとりした食感と甘い香りが楽しめ、シンプルながらもリッチな仕上がりになっています。
<PHOTO>エスカルゴ450円(税別)
豊かな香りと味わいが醸す、エレガンスを愉しむ
バラのデザインが目を惹く「サヤ」(写真右)は、イチゴのフィナンシェにイチゴムースを重ね、マルカルポーネで花びらをかたどったスイーツ。フィナンシェに忍ばせた、ライチとラズベリージャムの甘い香りと甘酸っぱい味わいはまるでバラのようで、見た目も風味もエレガントです。ガナッシュと生クリームが描く紋様がインパクトのある「ヴェルサイユ」(写真左)は、フランス菓子の王道「フォレノワール」をアレンジ。中に入ったキルシュ漬けのチェリーがアクセントになっています。このほか、クッキーやエシレバターの焼き菓子などもあり、お土産にも好評です。
<PHOTO>ヴェルサイユ540円、サヤ600円※1組1点限り(すべて税別)
「私福の時間とは?」
パティシエがプライベートで至福の時を感じるスイーツをリレー方式で毎月ご紹介。今回のエスカルゴを推薦いただいた、永本さんのマカロンはvol.15で掲載しています。
山川さんのスイーツづくりのモットーは「シンプル、上品」。使う色は3色までと決め、シックながらも華があり、高級感にあふれるデザインに仕上げています。味わいもシンプルさを追求し、主役の素材が際立つ構成にしています。「例えば、ゴマが主役のスイーツの場合は、キャラメル風味のチョコレートを加えて、ゴマの香ばしさが引き立つ組み合わせに。何種類も味を組み合わせて複雑にせず、重ねる味は基本的に3種類までと決めています」と話します。どのお菓子もシンプルですが、風味に奥行きが感じられるのは、香りのよいお酒を使っているから。食感や味わいを堪能した後、口の中に芳醇な香りがふわっと広がり、美味しい余韻を楽しませてくれます。
SHOP DATAPATISSERIE LACROIX(パティスリー ラクロワ)
JR「伊丹」駅の西側に位置する、石畳と瓦屋根が織りなす「酒蔵通り」。この風情ある街並みに溶け込むように佇んでいるのが、このお店です。一見、アンティークショップのような店構えで、店内も山川さんが集めたヨーロッパのアンティーク家具や雑貨などがセンスよくディスプレイされています。そんな空間を彩るのは、15~18種類の瀟洒なデザインの生菓子。手土産として喜ばれるようショップバッグも、上品でお洒落なデザインにこだわっています。
山川さんが惚れこむ逸品は……
「家族とよく行くのが、なかたに亭修業時代の先輩のお店、マルナカ菓子店です。おすすめは、子どもも大好きな『キャラメルクリーム』。生地にキャラメルクリームを流し込んだ英国系のスイーツで、キャラメルの苦味と甘味のバランスがよく、訪れると必ず食べています。オーナーは、イギリス人のお店で働いた経験から、フランス菓子だけでなくイギリス菓子も得意。それもこのお店の魅力ですね」