ボンボンショコラ「杏と塩」 [洋菓子マウンテン]
ボンボンショコラ「杏と塩」[洋菓子マウンテン]
今回は、「洋菓子マウンテン」のボンボンショコラ「杏と塩」をご紹介します。このチョコレートは、二代目シェフパティシエ・水野直己さんが総合優勝を果たした「ワールドチョコレートマスターズ2007 フランス・パリ世界大会」で制作した作品のひとつ。いわば、世界を獲ったチョコレートなのです。「重視しているのは、味覚の順番。杏ガナッシュのフルーティーさ、ミルクチョコレートの甘さを感じた後、キレを出すために、結晶が硬く、口の中で最後に溶ける死海の塩をトッピングしました。この塩のおかげで甘みが口の中に残らず、後味もいいんですよ」。香水のように、時間とともに味が移り変わるこのチョコレートは、優雅な気分に浸りたい時にぴったりです。このほかにも、チョコレートをたっぷり使った濃厚な「ザッハトルテ」、レミーマルタンの香り漂うイチジクのチョコレート「フィグ」など、大人の味もおすすめです。
<PHOTO>上:杏と塩(5個入り)1,620円 中:ザッハトルテ3,240円
下:フィグ1,750円 (すべて税込)
地元の人々に愛され続ける人気のスイーツ。
先代から受け継いだ「チーズケーキ」は、同店の看板メニュー。地元の人々の間で根強い人気を誇り、バースデーケーキとして注文する人も多いそう。生地は窯の前でつきっきりでじっくり焼き上げるとあって、驚くほどやわらか。水野さんが「フワフワ感は日本有数」と太鼓判を押すのも納得です。「マウンテンのプリン」も、先代からのファンが多い不動の定番。地元の牛乳と丹波産のブランド卵を使用した濃厚な味わいが自慢です。
〈PHOTO〉チーズケーキ290円、マウンテンのプリン290円(すべて税込)
「私福の時間とは?」
パティシエがプライベートで至福の時を感じるスイーツをリレー方式で毎月ご紹介。今回のボンボンショコラ「杏と塩」を推薦いただいた大西シェフの「ジンジャーフルーツケーキ」はvol.04で掲載しています。
「いつも何気なく食べている白ご飯が、すごく美味しいとビックリして感激するでしょ。その感動を、チョコレートでも提供したいと思っています」という水野さん。お菓子の定番素材を、驚きのあるものに変身させるにはどうすればいいのか。その答えを見つけるために、相当な時間をかけて研究した結果、チョコレート本来の香りや味わいを壊さないことが重要だと考えるようになったそうです。「たとえば、マダガスカル産のチョコレートは酸味があるので、同じく酸味のある柑橘系やベリー系と組み合わせるとチョコレートの味が引き立ちます。フローラルの甘い香りが特徴のアリバ産は、甘酸っぱいものと相性がいいんですよ」。甘味、苦味、酸味、香りのバランスの違いを見極め、組み合わせや使い方を変えるソムリエさながらの感覚は、さすがは世界一のショコラティエ。今後、どんな驚きを提供してくれるのか楽しみです。
SHOP DATA洋菓子マウンテン
2016年7月21日、移転オープンした地元で人気の洋菓子店。メインのスペースには生菓子や焼き菓子などが並び、その奥に設けられたチョコレートブティック「セラー・ド・ショコラ」では、ボンボンショコラやマカロンなどが購入できます。お菓子はすべて、併設のカフェスペースでイートインOK。オープンカフェもあるので、福知山ののどかな風景とともに、世界が認めた味を楽しんでみてはいかがでしょうか。
水野さんが惚れこむ逸品は……
「私のおすすめは、アッサンブラージュカキモトの〈ボンボンショコラ〉です。オーナーの垣本さんは料理人からキャリアをスタートし、パティシエ・ショコラティエになった洋菓子界の中で異色の存在。しかも、ボンボンショコラや洋菓子は、味もつくり方もセオリーを無視しているのに、とびきり美味しい。天才だと思います。この春、京都に開かれたお店は、寿司屋のような店構えで驚きましたが、それもまた、垣本さんらしさ。いつも刺激をもらっています」