ライフステージ対応システム「マドルノ」
今回は、2016年度グッドデザイン賞を受賞した、近鉄不動産オリジナルのライフステージ対応システム「madorno(マドルノ)」をご紹介します。「マドルノ」とは、あらかじめ間取りの変更を想定した住戸プランに、可動収納+置き畳を組み合わせ、4つのライフステージにしなやかに対応できるシステムです。リフォームをすることなく、家族の成長にあわせて自分で間取りがアレンジできます。その仕組みやどんな風に間取りが変えられるのか、マドルノ開発を担当した商品企画担当の鍛治さんと新海さんに取材しました。
集合住宅の基本的な間取りは、核家族を中心に考えられ、お子様の成長や家族構成の変化などに対応しづらいと話す鍛治さん。「マンションを購入しても、お子様が大きくなると戸建てに住み替えるお客様もおり、永く住み続けられるマンションを造りたいという想いで、マドルノの開発に取り組みました」。リフォームや住み替えの負担と費用をかけずに、住まい方の変化に対応できる仕組みを検討するところから開発を進め、商品化までおよそ1年を要したといいます。
商品化する上でこだわった点を新海さんはこう話します。「限られた住戸スペースの中で、“各ライフステージにあった住みやすい間取りをつくること”を第一に考えました。また、お住まいになられる方自身が間取りを変更するため、可動収納にいたっては、使いやすさや収まりやすさにも配慮して開発を進めました」。試作品を作り、何度も検証を重ねて完成した「マドルノ」は、「ローレルスクエア学研奈良登美ヶ丘Ⅴ」と「ローレルスクエア健都ザ・レジデンス 」で採用されています(2016年12月時点)。
大人2人で簡単に動かすことができる可動収納。各部屋ごとにオーダーメイドしているため、すっきりキレイに収まり、部屋の美観も維持できます。収納扉は、他の建具と素材やカラーがコーディネートされているのもオリジナル商品ならではの魅力。
収納ユニットの中にあるハンドルを回すとキャスターが床に接地し、軽く押すだけでスムーズに移動可能。ハンドルを反対に回せば、簡単に固定できます。
採用物件のマンションプラザでは、リフトアップハンドルの仕組みをスケルトンで見ることができます。
マドルノの大きな特長は、ハード(可動収納と置き畳)だけでなく、ソフト(住戸プラン)がセットになっていること。マドルノ対応の間取りごとに、4つのライフステージにあったメニュープランを作成して、図面を載せたプラン集もご用意。住まわれる方は取扱説明書とプラン集を見ながら間取りをアレンジできます。また、可動収納の移動を前提にしてエアコンの取り付け場所や照明の位置などが設計されているので、部屋の居住性はそのままに間取りを変えることができます。今回は、3LDKモデルプラン(4人家族想定)の一例をご紹介します。
可動収納を壁面に寄せて、2室一体の広々とした主寝室に。ベビーベッドを置いてもスペースにゆとりがあります。また、リビング横の居室は「置き畳」を敷き、赤ちゃんが遊ぶスペースとしても使えます。
「3LDKで、お子様が赤ちゃんのときは部屋があまりがちな時期。空間をより有効的に使えるように主寝室にゆとりを持たせました。ベビーベッドを置いても、育児がしやすい十分なスペースを確保しています」
お子様の自立を徐々に促していきたい時期には親子の寝室を分けて、リビング横の居室をお子様の部屋に。また、ご夫婦の主寝室にはゆったりくつろげる和コーナーを設けています。
「小学校低学年頃のお子様が、親御さんにそっと見守られながら、自分でできることを少しずつ増やしていけるよう、キッチンやリビング・ダイニングから近い場所に子ども部屋を設けています」
お子様が小学校高学年頃になれば、ご夫婦の主寝室を可動収納で仕切って、2つの子ども部屋を確保。それぞれに出入口や窓がある個室として利用できます。また、ご夫婦の寝室は、リビング横の居室に移動します。
「個室として完全に分けることができ、お子様のプライバシーに配慮した間取りに。可動収納で区切っているので、収納スペースもしっかり確保できます」
お子様が独立したあとは、2つの子ども部屋を主寝室に戻します。可動収納を上図のように配置して、ゆるやかな区切りのあるセミセパレート仕様に。リビング横の居室はリビング・ダイニングと一体的に使い、ゆとりのある空間を叶えます。
「夫婦別室を希望される方が多い年代ですが、完全に分けると、相手の様子も分からない…。互いの気配が感じられるよう、主寝室をゆるやかに分けています」